花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【散文】桜の天蓋 ~さくらのてんがい~



    桜の天蓋-1



    見上げた空は
    桜の天蓋

    一筋の白い飛行機雲
    梢を掠めて何処へ行くの?

    麗らかな春の日
    小鳥たちの歌声と共に

    長閑な時間は過ぎゆく……


    桜の天蓋-2


    【長編】『楼蘭―風の行方―』 55  ※要注意!古代パラレル

    楼蘭


    「どうして……?」

    状況が呑み込めず、ぽかんと呟く夕鈴に
    熱い視線を送り、抱きしめる腕を強くする黎翔。

    夜目に夕鈴が慣れてくると、四阿の外に明々と焚かれた篝火
    四阿の天幕を仄かに明るくさせていた。

    僅かな明かりで抱きしめる人物を確かめると、それはやはり黎翔王だった。



    「貴女と別れ、逢えない日々。
    私は、ずっと貴女を想い慕い、貴女を夢に見ておりました」
     
    触れる彼の唇は、夕鈴の顔の輪郭を辿り
    耳朶に…頬に…額に

    「ずっと貴方に焦がれていた……夕鈴姫」

    ふたたび塞がれた唇は、先ほどよりも甘く情熱的だった。

    二度目の黎翔との口付け。
    不意打ちで唇を奪われたのに、不思議と夕鈴は嫌悪感を感じなかった。
    むしろ彼に求められていることが嬉しい。

    唇は……愛しい人を覚えていた。
    触れられた場所から、黎翔の熱が彼女の心に灯を点す。

    ……こんなにも黎翔王に求められ愛されていることに、夕鈴姫は胸が熱く締め付けられた。

    ロブ=ノールから別れて数日。
    ほんの数日だったというのに、何十年も会えなかったように淋しく感じた。

    情熱的な口付けに、おずおずと彼女も舌を絡ませる。
    黎翔は、そのことに気付いて微笑み、更に口付けを深くした。


    夕鈴も、また彼に心惹かれ求めていたことに気付いた。
    愛する人との口付けで、黎翔王を愛していることに気付けた。

    “好き……”

    甘酸っぱく切ない想いが、彼女の心を満たしていく。


    “いけない。
    私には、もう婚約者がいるのに……”

    “でも、もっと……口付けて”

    理性と本能が、せめぎあう。
    恋を知ったばかりの彼女に、彼の愛に抗う術は無かった。

    黎翔王との口付けが甘い。
    ふわふわと夢のように心地良かった。

    いつの間にか、彼の背を抱き
    覚えたばかりの二度目の口付けを、情熱的に彼女は求めた。

    全ては、良き思い出の筈だった。
    夕鈴姫の初恋。

    ロブ=ノールでの甘く優しい愛のひととき。
    もう忘れようと諦めた人だった。
     
    素敵な恋の思い出を秘め
    父と変わらぬ歳の皇帝の元へと嫁ぐ覚悟でいた。

    愛を告げずに終わった恋。
    そう彼女は思っていた。

    黎翔王は、父王から事情知り、私を諦めてくれるだろう。
    私を忘れてくれるはず……胸が痛いことだったが、あらがえぬ運命と知っていた。

    甘い思い出に縋り、彼女は異国で静かに朽ちていく筈だった。
    そう思っていた。


    ……でも 、そうじゃなかった。

    忘れようとしても忘れるはずも無い。
    初めて自分が愛した人を。
     
    二度目の口付けは彼女に、ゆるゆるとした変革をもたらす。
    恋を成就させたいと願ってしまった。



    彼を本気で愛していると知った今。
    彼と結ばれたいと思ってしまった。



    *****
    ********
    ***********


    彼女の身も心も蕩かす
    情熱的で熱砂のような黎翔王の口付け。
     

    あれほど頑なだった彼女か、彼に応え始めた。
    彼の求めに、あらがいは微塵もなく口付けに身を任す夕鈴。

    彼の背を華奢な彼女の腕がしがみつき
    そのことに無上の喜びを隠せない黎翔王は、ますます彼女を可愛らしいと思った。
     
    真っ赤な顔で口付けに翻弄される彼女。
    もっと……と
    強請るように、熱に潤んだ大きなハシバミ色の瞳が潤むと
    黎翔の心に歓喜が湧きあがり、どうしようもなくもっと泣かせたくなってしまう。


    “我ながら意地悪だな”

    と思うが、彼女が無意識に自分を煽るのだから仕方ない。


    誰にも見られることのない天幕の中の夜の四阿で
    ロブ=ノールで出逢った運命の恋人達は、お互いの再会を純粋に喜び合う。

    愛してやまない魂の片割れ。
     
    黎翔は、ゆっくりと彼女を床に押し倒した。


    “離れたくない……”

    “離したくない……”


    絡めあう四肢は、いつの間にかお互いの身体を求めてた。
    言葉はなく口付けで会話する恋人達。
    お互いの気持ちが一つに繋がった時間だった。

    楼蘭の運命が変わる。
    これから襲う楼蘭の悲劇を、二人は知るよしもない。

    四阿の外から馬頭琴の物悲しい音色が聞こえた。

    震える馬頭琴の音色を含んだ風が楼蘭に吹く。

    湖から吹き抜ける風は、タクラマカン砂漠を越えて
    はるかはるか遠くへと流れていった。

    吹く風は、さほど強くも無いのに
    サラサラと砂丘の形を崩し、瞬く間にその形を変える。
     




    比龍王は静かに楼蘭の街を見渡した。



    今は街の灯は 落とされ、静かな眠りの静寂が満ちる。


    比龍王が守ってきた平穏で豊かな楼蘭王国。

    苦渋に満ちたはしばみ色の瞳。
    比龍の 眉根に、皺が深く刻まれた。

    比龍は楼蘭王国・国王としてではなく、
    夕鈴姫の父として重大な決断をする時が迫っていた。



    ……続く


    2017.04.06.改訂
    2013.09.28.初稿

    春めく

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    エイプリルフールですが……

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    【短編】現代パラレル『milk cocoa』 ※Boxing Day

    ※こちらは、現代パラレル『ミルク・ココア』です。
    現代パラレルが苦手な方は、閲覧を控えてください。
    それでもかまわないかたは、どうぞお楽しみください。








    20100205121511d5d.jpg



    彼女の手に、じんわりと温かなマグカップ
    中身は、ミルクたっぷりのココア

    風邪を引いてしまった恋人の為に、たった今、心を込めて夕鈴が作ったばかり。
    まだ、火を止めたばかりなので病人には熱すぎて飲めない。

    「黎翔さん、ココアを作ってきました。
    ……飲めますか?」

    寝ている彼のベットサイドのテーブルに“コトン”と静かにマグカップを置いて、
    夕鈴は近くの椅子をベットサイドに引き寄せた。

    介護に手慣れた様子で、てきぱきと風邪をひいた恋人の看護をこなしていく。




    ゴホゴホ……ゴホ


    「大丈夫ですか?
    ゆっくり起き上がってください……」

    「ーーーーすまない」

    せっかく座った椅子から立ちあがり、夕鈴は彼の背中を支えて
    起きあがるのを手伝った。
    背中にクッションを入れて楽にしてあげる。

    本当に手慣れている。
    黎翔は、怠そうに起きあがると彼女の差し入れたクッションに
    深々と身を沈めるように凭れた。

    顔色がよくない。

    熱のせいで彼の瞳が潤んでいた。
    いつもは堂々とした屋敷の主ぶりだが、
    今日は病のせいか覇気もなく気弱に見える。


    「ごめん、夕鈴。
    せっかくの休みなのに……」

    しょんぼりと項垂れた彼は小犬のよう。
    うるうると熱で潤んだ瞳で彼は申し訳なさそうに彼女に謝罪した。

    「ううん。
    いいんです。
    気にしないでください。
    わたし黎翔さんのお役にたてて嬉しいんです」

    温かな笑顔で彼女は明るく頬笑んだ。

    「普段、わたし黎翔さんの役にたってないから……」

    困ったように、眉を下げる恋人の手を黎翔は、掴んだ。

    「そんなことない。
    君は十分役に立っているよ!
    ……君が来てくれて助かった」

    「ほんと!?」

    …とポツリ呟いた夕鈴の手を握り、黎翔は真摯にうなづく。

    彼の両手で握られた夕鈴の手が熱い。
    風邪の熱で高い彼の熱が伝わる。

    でもそれだけじゃなくて。

    役に立っていたことが嬉しくて、でも恥ずかしくて…‥
    自然、夕鈴の顔も恥ずかしさで、どんどん赤くなっていく。
    結局、耳まで火照った顔を見られまいと、夕鈴は俯いてしまった。

    黎翔さんは、そんな彼女を見て、益々可愛くて仕方ないとばかりにギュと両手で握りしめた。

    静かすぎる時が流れて行く。
    庭で鳴く小鳥の声が部屋に響いたが、二人の耳には届かなかった。


    「あの……」

    「何?
    夕鈴」

    そんな甘やかな沈黙を破ったのは、状況に耐えられなくなった夕鈴だった。
    先ほどから、ずっと気になっていたことがある。

    閑散とした今日の屋敷の様子に夕鈴は戸惑っていた。
    いつもは、たくさんの使用人が居るはずの大きな屋敷は今日は人の気配が無い。
    廊下にも庭にも台所にも、今日は来てから誰一人とも出会っていなかった。
    そのことに彼女は首を傾げていた。

    大きな厨房を使ったことがないので尻ごみしたが。
    病人に温かな飲み物を作ることができて夕鈴はホッとしていた。

    なにしろ夕鈴が来るまで水分さえ(面倒くさくて)摂らなかったらしい。
    自分の体力に自信があったがために油断して、結果的に風邪をひいたらしかった。

    普段、頼らせてなどくれない恋人だから、アレコレ世話を焼くのは楽しい。
    でも病気の主を置いて使用人たちは何処へ行ったのだろうか?

    「今日は人が居ないのですね。
    ……いつもの使用人の方達は?」

    「今日はBoxing Dayだからね。
    数日間、休みをとらせている」

    夕鈴は聞きなれない単語が出てきて、もう一度黎翔さんに聞き返した。

    「Boxing Day(ボクシング・デイ)……?
    何ですか?
    それ……」

    「簡単にいうとクリスマスに働かなければならなかった人の為に
    家族で過ごすクリスマス休暇のことだよ」

    「だから休暇の間は自分のことは
    自分で、しなければならないのだけど……」



    ……ああ、だからなのね。
    と彼女は納得した。

    風邪をひいたのは、きっと夜遅くまでお仕事を優先していたに違いない。
    それを止める使用人たちが居なくて、彼は寝食を忘れて無茶をしたのだろう。


    まったく、この人は。
    辣腕ぶりで世間から恐れられているというのに……
    自分のこととなると、あまりにも無茶で無頓着だ。

    これは風邪だけですんでよかったのかもしれない。
    誰も居ない屋敷で、過労で意識なく倒れていたらと思うと怖いものがある。



    「夕鈴、ホントにごめん。
    せっかく、お見舞いに来てくれたのに、家事を全てやらせてしまった」

    「いいんです。
    これくらい家族で慣れてますから」

    「元気になったらデートしようね。
    何処へ行きたい?」

    「それより、せっかく作ったココアが冷めてしまいます。
    これを飲んで、もう一眠りして早く治してください」

    夕鈴は、ベットサイドに置いたマグカップを手に持つと、
    弟にしていたように、ふぅふぅ……とココアを冷まし始めた。

    黎翔は、その様子を呆気に取られてみていた。
    使用人たちは、黎翔に飲み頃の適温しか渡さない。

    夕鈴のやり方のような飲み物の冷まし方など知らなかった。
    見つめられていることに、気付いていない夕鈴は、一生懸命に黎翔のココアを冷ましてくれている。

    黎翔は、口元に手を当て顔を真っ赤にして耐えていた。

    ……ヤバイ。
    可愛すぎるよ、夕鈴。
    家に帰したくないな。

    ーーーーこのまま朝まで看病してほしい。
    そんなこと言ったら、嫌われるだろうか?

    ますます黎翔の顔が赤くなる。
    もしかして首筋まで赤いかも……

    くすぐったくて凄く嬉しい。
    こんなこと、されたことないから、尚のこと。

    う~~~~ん。。。
    風邪じゃなかったら今すぐ君を押し倒すのに。

    そのままココアが冷めるまで、真っ赤な顔で夕鈴をジッ見ていた。
    不埒な妄想ばかりが、彼の頭を占めていく。

    彼の視線に、やっと気付いた夕鈴は、真っ赤になって謝った。

    「ああっ!
    黎翔さん、子供じゃないのに……
    ごめんなさいっ!!!
    ーーーーつい。」

    「いや、新鮮で嬉しいよ。
    夕鈴」

    彼女の冷ましたミルクココアを受け取りながら
    とても幸せな気分で一口飲んだ。

    「美味しい!」

    彼女に心からの感謝の言葉を伝えた。
    嬉しくて笑みが止まらない。


    君の心は、僕の心を温かくする。
    触れると、このココアのように身体の芯から温まるんだ。

    ホントは君の唇の甘さも欲しいのだけど……
    風邪をうつすのは気がひけるし

    今は、コレで我慢。
    残りのココアをイッキに飲み干して、君の気持ちを飲み込んだ。
    彼女のいう通り、早く風邪を治さなきゃな。

    夕鈴にお礼のkissも出来ない。
    「ご馳走様」とひと言呟いて、黎翔は再び横になった。

    「喜んでいただいて嬉しいです。
    じや、私コレ片づけてきますね」

    「待って。
    それ後にしてよ」

    引き留めるつもりなんて無かったのに、気づいたら彼女を引き留めていた。
    お互いに、戸惑った視線が交錯する。

    「黎翔さん?」

    「ねぇ、夕鈴。
    手を握ってよ。
    僕が眠るまで傍に居て」

    「……こう?
    ですか?」

    少しだけひんやりとした小さな柔らかな手が、僕の左手を、おずおずと覆った。

    「……安心するね。
    気持ちいいな」


    いつもの日常って、こんなに幸せだったっけ!?
    今日はBoxing Day。

    屋敷には、君と僕の二人っきり。

    君は気付いていないようだけれど……今、二人っきりなんだよ。
     










    早く、こんな日常が来るといい。
    家族になろうよ、夕鈴。


    僕は彼女の温もりを感じながら微睡みの中へ落ちて行く。






    ーーーー願いと共に。









    “a story ” by sakurapan

    2017年03月16日改訂
    2012年12月26日初稿

    【頂き物】  感謝 … それを読んで思うこと

    どんなひどい困難に出会おうと、
     
    病気や事故になろうと、
     
    死ぬことと比べたら
     
    すべては「カスリ傷」
     
    のようなもの。
     
     
     
    もし明日死ぬとわかったら、
     
    多くの人が、今ある何げない
     
    当たり前のような幸せに
     
    感謝することだろう。
     
     
     
    歩けること、
     
    空気が吸えること、
     
    友や家族と語らえること、
     
    大喧嘩(おおげんか)
     
    したことでさえ、
     
    愛(いとお)しくなる。
     
     
     
    金も、家も、名誉も、宝石も、
     
    いかに大切なものであろうと、
     
    死んだらこの世に置いて
     
    いかなければならない。
     
     
     
    それなのに、
     
    悲しいかな人間は、
     
    目の前のモノや金や名誉を
     
    もっともっと、と欲しがってしまう。
     
     
     
    もっとも肝心な、
     
    「生かされている」
     
    ということに比べたら、
     
    すべてはちっぽけなこと。
     
     
     
    すべてのことに感謝して、
     
    ありがたさをかみしめ
     
    生きていきたい。
     
    DSCN5724.jpg 
    (撮影 さくらぱん)


    FBより抜粋

    ****

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    【長編】『楼蘭―風の行方―』 54 ※要注意!古代パラレル

    楼蘭




    意を決し、四阿の垂れ幕をくぐった夕鈴姫。
    ……暗い闇の中に星明かりは届かず、目が慣れない。

    やはり誰も居ないのでは?

    そんな疑問が、ふと頭をよぎる。
    垂れ幕の端がふぁさりと四阿の床に落ちたと同時に……
    彼女の腕が何者かに引き寄せられた。

    「きゃあ、、、(は、ンっ!)」

    そのまま抱き締められて、
    柔らかな唇を唇で奪われ、彼女の悲鳴が掻き消された。

    バクバクと跳ね上がる心臓の音。
    暗闇にいまだ慣れぬ身には、不埒な暴挙になすすべがない。

    んぅぅ…

    息苦しさと恐怖にバタバタと暴れるも硬い板床に縫いとめられて
    執拗に口腔を蹂躙された。


    熱い舌先が彼女の歯列を這う……

    誰とも見分けられぬ闇の中での、口付けは終わりが見えない。
    このまま永遠に続くのかと思うほど。

    ―――油断した。
    悔しくて、無性に腹が立った。
    自分にも、この男にも。

    夕鈴のささやかな抵抗は、ますます戒めがキツクなるばかりで。

    抱き締められた腕の中から逃げ出そうと試みるも…
    失敗し、落胆して……

    夕鈴は不意打ちの口付けの苦しさに涙がこみ上げた。
    抗うも全てが徒労に終る。

    口付けに翻弄される…
    荒々しい口付けに……

    ふぁ…ンっ…

    っ!





    ……
    ………




    どれくらいそうしていたのだろうか?

    夕鈴姫が抵抗を諦めた頃…
    長い戒めは始まりと同じように唐突に終わった。

    ぱたりと床に彼女の腕が投げ出された。
    もう……抵抗する気さえおきない。

    四阿の中、重い沈黙が流れた。









    「夕鈴……私です。
    黎翔です」

    夕鈴をしっかりと抱き締め、
    耳朶に抑えきれない恋の熱と甘さで囁く黎翔。

    「……黎翔さま?
    なぜ、こんな……酷いこと」

    長い抵抗の末、彼に動くことさえ出来ないほど翻弄された夕鈴姫。
    唇を奪った人物が、恋しい黎翔王だったことに驚いた。

    ……思考さえも奪われて、未だ混乱する夕鈴。
    乱れた裳裾から白い太腿が悩まし気に露わになっていることにも気が付かない。

    「すまない。
    怖い思いをさせたね。
    君に逢えて嬉しくて
    自分を抑えられなかった」

    闇に仄かに浮かぶ
    白い胸と細い喉が、粗く上下する。

    乱れた長い髪が、はちみつ色の河の流れを作り床に光る。

    彼女の咎めるような強い眼差しも、
    自分に翻弄されて乱れた姿も、
    すべてが愛らしく麗しい。

    昼間の他人行儀ではない。
    黎翔の知るロブ・ノールの愛しく気高い彼女だった。

    「驚かせてごめん」

    黎翔は、やさしく床から引き起こし彼女を胸の中に抱きしめなおした。
    腕の中に長く求めていた愛しい彼女の温もりがあった。

    とくん。とくん。とくん。
    脈打つ温かな血潮の音。

    彼は、ようやく会えた愛しい女性(ひと)に
    髪に、額に、瞼に、優しく口付けを贈った。

    先ほどまで、あれほど抵抗していた夕鈴は
    黎翔と知ると
    口付けの贈り物を優しく静かに受け止めてくれた。

    口付けを贈る度に、初々しくも微かに震える彼女に
    愛しさがこみ上げてくる。



    優しく微笑む黎翔は、いつになく上機嫌だった。
    場所も忘れ、時も忘れ、ただ彼女しか見えない。
    一人の恋する男として、彼女のすべてを感じていたかった。

    「……貴女にお逢いしたかった。
    夕鈴姫……愛しております」

    「私が愛する人は唯(ただ)一人。
    貴女しかいない可愛い女(ひと)」

    「……黎翔さま。
    お約束が違います。
    私は、ロプノールのまぼろし「幻などではない!」」

    「貴女は、ここに居る。
    ここに、こうして触れることができる」

    んっ!

    再び、奪われた唇は、先ほどの荒々しさではなく
    夕鈴を甘やかすように彼女の心の頑なさを甘く蕩かすものだった。

    …ぁ。

    「夕鈴。
    もう一度言う。
    私の妻になってくれ」






    自分を唯一、愛するという男に熱く愛を乞われたプロポーズの言葉を
    夕鈴は甘い至福(とき)の中で、ぼんやりと聞いた。


    その言葉は風のよう。

    遠い麗しのロプ・ノールの湖面を吹く風のようだと彼女は思った。
    決して求めてはならぬ愛しい風。

    でも心は求めずにいられない。
    ーーーーーー好きで好きで大好きで。


    とても







    ……切なかった。



    ……続く

    2017年03月13日 改訂
    2013年09月27日 初稿

    0303 本館「目次」 更新しました。

    今日は♪
    さくらぱんです。

    昨夜の氷雨は、何処へ行ったのでしょうか?
    雨に洗われた眩しいほどの晴天
    なのに、飛ばされそうな強風です。

    rose-300IF.jpg

    -短編500IF薔薇>
    IF500-1.jpg

    IF設定は、書庫の内容をまだ充実させていませんが・・・とりあえず。
    あやうく目次工事で一日終わりそうです。
    SSや写真がおろそかだわ。
    いけない。。。

    よろしければお楽しみください。

    2017.03.03.
    さくらぱん


    一発ネタ☆微えろ「チョコプワ」ブルゾン天の声    さくらぱん作

    おはようございます。
    さくらぱんです。

    ブルゾンきょうこさん宅で、コメントしたもの。
    何でも大丈夫な方だけ、どうぞ。

    *****

    男の人って、パーツが綺麗な方が多いですよね(笑)
    睫毛が長いとか、
    お肌つやつや綺麗とか、
    手がするりとしていて綺麗とか、
    指が長くて美しいとか。

    実は、男性の大きくて美しい
    セクシーな手が大好物な私です。←

    故に、某ブロ友さんの手も大好きです。←実物見たことないけど(笑)

    2016.03.03.
    さくらぱん

    *****

      ネタは蜜館の微エロ【現パラ】chocolate poison -チョコレート プワゾン- です。
      まだ蜜館を読んでない方は、先にそちらをお読みくださいね。


    続きを読む

    一発ネタ*ブルゾンるかひめ

    今晩は
    さくらぱんです。

    SNSで、仲良くしていただいているお友達の(仮)ブルゾンきょうこさんの素敵SSに、
    先週からどっぷりはまり、とうとう許可を頂き強奪してきちゃいました。
    原稿のまま、素敵なSSをお楽しみください。

    2017.03.02.
    さくらぱん


    ***

    ブルゾンるかひめなら出来ますよ。
    ほぼ本家ネタで笑

    ブルゾンきょうこ


    ***


       SSは、追記に畳んでいます。

    続きを読む