花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【長編】『楼蘭』―夢逢瀬編―45  夕鈴SIDE 2 夢逢瀬編・完

    楼蘭




    ー夕鈴SIDE 2ー

    夕鈴!

    (黎翔さまっ!)

    呼ぶ声に見上げれば、
    切り裂かれて覗いた 真っ青な空

    どこまでも澄んだコバルトブルーに光る青空と眩しい太陽の光輪。
    差し込んだ眩しい天空の光から彼女に手を差し伸べる人影。

    「夕鈴っ!」

    夢の中で巨大な大鷲の鉤爪に囚われたまま、夕鈴は叫んだ。

    「……○○○○○さまっ!」

    確かに愛しい人の名を、呼んだはずなのに、
    その声は、まだ濃く残る闇に囚われて声にならない。

    無音の闇に、愛しい声だけが木霊する。

    「夕鈴!
    ……夕鈴!」

    「……黎翔様」

    涙ながらに諦めに似た落胆で夕鈴が呟いた声は、以外にも大きく木霊して……
    次の瞬間、パリリ……と、漆黒の闇が跡形もなく剥がれ落ち消えていた。

    闇に慣れた目に、眩しい光の洪水。
    眩しくて目がくらむ。

    目を開けていられなくて、彼女は目を瞑った。











    どれくらい、そうしていたのだろう。
    目を開ければ……そこは暖かな見慣れた景色。

    穏やかで静かなロブ・ノールの岸辺。
    星明りが、湖面に光りを灯す星鏡の夜

    (温かい……)

    何時の間にか暖かい腕に包まれて、誰かの胸に抱かれていた。
    心安らぐその人の温もり……無言で髪を撫でられ指梳かれていた。

    静寂が心地良い。
    夕鈴は、この温もりを知っていた。

    先ほどの闇の冷たさや、恐怖も絶望も薄らいでいく。
    ……萎縮した心が、少しずつ緊張が解きほぐされていった。

    ただ……怖かった名残の涙だけが、夕鈴の頬をぽろぽろと零れ落ちた。

    「……夕鈴」

    耳朶に囁かれる、はじめて心響いた自分を呼ぶ甘美な声
    優しく抱かれ、耳朶に繰り返し告げられる

    「愛している」……と言う囁き。

    クラクラとほろ酔いながら、ゆっくりと……はしばみ色の瞳を開けば、
    暖かな焔の色の綺麗な瞳で見詰められていた。

    「黎翔様……」

    好きな人に抱かれていることを知り、頬染める夕鈴。
    安堵で温かな涙が零れた。

    啄ばみ繰り返される
    黎翔からの甘美な口付けは、どんな美酒よりもほろ酔う。


    (すき……
    私、黎翔様が好き……)


    忘れようとした恋心は、新たな涙を彼女にもたらす。

    星鏡に寄り添う恋人達は、運命を知る。

    逆らえぬ恋の運命。

    星々は祝福の光を贈った。

    「貴方が好き!」

    夢の中なら……
    こんなにも貴方に、素直になれるのに……

    黎翔からの甘い口付けに応え……熱い吐息を零す夕鈴と
    愛する夕鈴に酔う黎翔の
    対の翡翠の耳環(じかん)が仄かな光を放ちながら、
    輝いていたことを夕鈴は知らなかった。



                  ―夢逢瀬編・完―



    再会編・46へ 続く

    2016.03.15.改訂
    2012.11.16.初稿
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    31:NoTitle

    これでもうすべて完結なのですか?

    2013.02.06 21:04 陽向 #- URL[EDIT] 返信
    32:楼蘭はまだまだ続きます。

    陽向さん
    おはようございます。
    さくらぱんです

    いつもコメントありがとうございます。
    楼蘭は、またまだ続きます。ただ書いていないだけです。
    SNSで書いていたストックがもう無いだけで、大筋はEDまで見えている物語です。
    ここから先は、SNSでは書けない部分が含む為、執筆を中止していました。


    夕鈴姫は、漢に行かなくてはなりませんから。←
    やたら長い大河ドラマのようです。ようやく1/3ぐらいかしら・・・・たぶん。
    書いてみないと分からない部分が怖いです。

    不定期で更新致します。
    陽向さん
    気長にお付き合いくださいませ。

    2013.02.07 08:13 さくらぱん #- URL[EDIT] 返信

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