花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【長編】『楼蘭』―夢逢瀬編―44  夕鈴SIDE 1

    楼蘭




    ー夕鈴SIDE 1ー

    ああ……
    また、この夢……

    夕鈴は、苦しげに身を捩(よじ)り逃げようとするも。
    ……漆黒の暗闇に失墜する自分を、大鷲に変化した武帝が無情にも捕まえる。

    鋭い猛禽類の鉤爪は夕鈴の柔らかな皮膚を引き裂き、ゆるゆると鮮血が流れ落ちた…

    武帝の
    血も凍りつく、深淵の恐ろしい闇の眼差し
    この冷たい瞳から、私は逃れられぬのか!?
    交わされる冷たい口付けに、夕鈴の身体が大きく震えた。

    自らを、贄と差し出したあの日以来…

    繰り返し…繰り返し
    夕鈴の夜を苛む悪しき夢。






    ……諦(あきら)めの未来の自分。

    ――夕鈴!――

    いつものように深淵の闇に深く沈む
    自分に呼びかける。

    闇を切り裂く一条の強い光!
    温かな陽光にも似たその閃光。

    湧く希望のような自分を呼ぶ声。

    あの声は……





    ――――黎翔さまっ!







    溢れる涙が止まらない

    ~~っ!!!

    鉤爪に捕らわれ逃げられぬまま……
    夕鈴の片耳だけの翡翠の耳環(じかん)が
    暗闇の中、鮮やかな明るい緑に輝いていた。

    ……夢逢瀬編45  夕鈴SIDE 2へ続く。


    2016.03.14.改訂
    2012.11.16.初稿
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