花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【長編】『楼蘭』―黎翔編― 40 ※要注意!古代パラレル

    楼蘭



    物悲しく響く馬頭琴(ばとうきん)の調べが、夜の静寂(しじま)に響く
    楼蘭王宮の湖にせり出した四阿から……哀愁漂う琴(きん)の調べ

    過去を遡り懐かしむ
    楼蘭国王・比龍の愛と悲哀の琴
    馬頭琴は優しく震え、柄頭の馬の彫りも影を濃くする

    比龍王の白髪交じりの薄い金茶の髪は、夜風に靡き
    ハシバミ色の瞳は、深い憂慮に沈んでいた……

    「……やはり来たか。
    珀 黎翔国王殿」

    馬頭琴(ばとうきん)を奏でたまま、比龍王は黎翔の存在に気付き声をかけた。
    王の手元の弓は、震えるまま澄んだ音色で馬頭琴を奏でている。

    星空が綺麗な夜だった。

    夜風が比龍の心のように、湖に細かな漣(さざなみ)をたてる。
    澄み切った馬頭琴(ばとうきん)の音色が、湖面を渡っていった。

    「綺麗な音色が聞こえましたので、つい誘われてしまいました。
    比龍王よ。
    お寛ぎのところを、お邪魔してしまいましたか?」

    王宮から四阿へ渡る橋の上で、黎翔は比龍王に控えめに声をかけた。

    「いや……かまわん。
    むしろ、貴殿を待っていたと言うほうが正しいか?」

    そこで、はじめて
    比龍は、自分を訪ねて来た若い王を見た。

    凛々しく引き結んだ口元。
    奥に秘めた情熱と決意の焔揺らめく澄んだ紅い瞳
    ……片耳には見覚えのある深い緑の美しい翡翠の耳輪(じかん)が光る。

    比龍には亡き妻・藍鈴(あいりん)姫と出会った頃の
    若く自信に満ちた過去の自分を見ているようだった……

    比龍は改めて、西国から来た若者を好ましく眺めた。
    今の自分には無い
    若さと、才気あふれる自信……
    この若さで、一国を治める、その器量。

    比龍王は、懐かしくも眩しいものを見るかのように
    黎翔を見る瞳を細めた。

    少しずつ年老いた王へと歩みを進める黎翔は、
    極度に緊張しつつも……
    夕鈴姫のことを尋ねるために比龍へと近付いた。

    「珀国王殿。
    いや、黎翔殿。
    そう緊張せずともよい」

    「私こそ貴殿とゆっくり話が、したかったのじゃ……

    貴殿のしている
    翡翠の耳輪には懐かしく見覚えがある」


    「……我が娘。
    夕鈴に会(おう)たのか?
    珀 黎翔殿?」

    突然、馬頭琴の音色がプツンと途絶え……
    代わりに穏やかな楼蘭王の声。

    黎翔に問いかけた比龍王の顔は、
    先ほど謁見の間で、かい間見た厳しい王の顔では無く、
    温かく優しい父の顔をしていた。




    ……黎翔編・41へ 続く



    2016.03.08.改訂
    2012.11.13.初稿





    ☆申し訳ないぐらいお待たせしました。再開いたします。ぺこり。

    決め手がでてこなくて、筆が止まっておりました。
    馬頭琴(ばとうきん)でようやく再開することができました。
    応援よろしくお願い致します。ぺこり。

    本当にお待たせ致しました。
    前回が、9月2日・・・長い休養でした。
    こちらは、幻ゆえに資料も少なく、手探りです。
    頑張りますので、応援して下さい。ぺこり。

    2012年11月13日  さくらぱん
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