花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【長編】『楼蘭』―黎翔編― 35  ※要注意!古代パラレル

    楼蘭





    数十メートル級の熱砂の砂山を
    陽炎(かげろう)のような黒影が揺らめく。
    駱駝(らくだ)が、数十頭…炎天下の砂漠を乾いた砂煙(すなけむり)をあげて駆け抜けていく。

    砂の大地は、灼熱(しゃくねつ)の太陽を照り返し
    赤味を帯びた金色に燃えて輝く。

    どこまでも果てしなく広がる砂の海。

    隊列はタクラマカン砂漠を北へ、
    北へ……

    黎翔は、首都・楼蘭を目指し猛然と駱駝を走らせた。


    黎翔たちが通り過ぎた後は、駱駝の踏み散らした足跡が南から続くも
    砂塵によりサラサラとあっという間に跡かたも無く消え失せた。

    頼るべき道標(みちしるべ)も無く、季節により砂山の位置さえも変わる大地。

    砂漠に強い駱駝(らくだ)でさえ、音をあげ息を荒げる……その厳しさ。

    ジリジリ…と肌焼ける日差しをものともせず先陣を切って駱駝を駆るは……

    日除けフードを目深(まぶか)に被り、眼差しは遠く遥か【楼蘭王宮】を目指す黎翔。

    疾風迅雷、砂塵(さじん)をあげて疾走する颯爽としたその姿。

    風を孕(はら)みフードを翻(ひるがえ)しつつ……砂山を駆け上がるその姿は

    幾度もの内乱と粛清の戦で、ついた彼の畏怖の二つ名

    “狼陛下”
    の名に相応しいものだった。

    “……夕鈴!”

    愛しい姫をこの腕に抱く為に……固い決意で、駱駝に更に鞭を打つ。

    時折、感じる……
    どうしようもなく湧きあがる不安と焦燥に先を急がせど、
    隊列を飲み込みそうなほど、巨大な砂漠の砂山が彼の進路を阻む。

    我が身が引き裂かれるような恋する姫との別れから、五日目。

    もう、そろそろ【楼蘭王都】に着くはずだった。

    この長旅の終わりの予感。
    期待と不安に苛まれつつ……
    “一刻でも早く楼蘭王に会いたい!”と駱駝を急がせる黎翔だった。

    まだ見ぬ彼女の父王が、二人の未来の鍵を握る…と、そう信じて。


    ……黎翔編・36へ 続く。


    2016.03.06.改定
    2012.09.01.初稿
    関連記事
    スポンサーサイト

    管理者にだけ表示を許可する