花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【長編】楼蘭ー離宮編ー24  ※要注意!!!古代パラレル

    楼蘭 




    夕鈴は、黎翔との初めての口付けに困惑していた。

    本来なら、はじめて意識した異性との熱い口付けは、
    恋する乙女ならば、すべてが薔薇色に満ちて幸せになるはずなのに……

    「……ゃ!
    ダメ、黎翔様!」

    何故だろう
    ……忍び寄る不安。

    “いけない!”
    警鐘が割れ鐘のごとく、頭の中で大きく鳴り響く。

    足元から地に吸い込まれそうな……
    そんな喪失感と、絶望感。

    愛する人を愛せない
    私には、それが許されない。

    砂漠を吹きすさぶ夜風が、夕鈴の心を凍らせる

    恋を知ったばかりの彼女には残酷だった。

    彼女は知っていた。
    この恋は実らない。
    実らせるわけにはいかない。



    自分の手で幸せを壊す、定められた未来に忍び寄る影。
    未来に起こりうる出来事に、彼女は胸を痛め、身体が小刻みに震えた。
    運命が、軋んだ音をたてて廻り始めた気がした。

    黎翔の甘く蕩けるような口付けを受けながら……
    彼の愛に応えることは出来なかった。
    愛する彼の求婚に応える日は、永久に来ない。

    いつの間にか、夕鈴の眦(まなじり)から静かな涙が伝った。
    止まらない涙が溢れる……次から次へと彼女の頬を冷たい涙が流れた。

    この恋を忘れなければ……

    自分と黎翔との恋は永遠に実らない。
    彼の国に、自分は嫁ぐことは無いだろう。

    ……何故なら、もう自分の運命は定められているのだから。

    夕鈴は、芽生えたばかりの恋を失うのが、とても辛く悲しかった。
    彼女の冷たい涙は、いつの間にか黎翔をも濡らしていた。


    ……25へ・続く



    2016.02.21.改訂
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