花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【長編】楼蘭ー離宮編ー22  ※要注意!!!古代パラレル

    楼蘭 





    今宵も澄み切った砂漠の夜空に 降るような輝く星々
    キラキラと宝石よりも輝き、夜空を彩る。

    ロプ=ノールの天鏡は星空を切り取り、湖面はもう一つの夜空のように輝きだす。

    漆黒の夜空に輝く、満天の星空と……
    天空の星々の輝きを映す、星空の反転した水鏡と……

    悠久の時間である過去の星の光命と、今を瞬く人々の光命
    相反し交錯する時の輝きを 今に映し出す天の鏡

    ロプ=ノールの星鏡

    幻の湖の幻の景色に誘われるかのように
    黎翔と夕鈴の二人は、先ほどの約束のままに、はじまりの場所に着いた。

    「寒くは、ありませんか?
    夕鈴」

    「平気です。
    ここは生まれ育った土地。
    夜の砂漠は、慣れております」

    椰子の葉擦れの音がサヤサヤと……
    二人がはじめて出会った湖の畔あたりで、黎翔は駱駝の足を止めた。

    「足元が、暗い。
    夕鈴、気をつけて……」

    黎翔は、駱駝から先に降り
    夕鈴姫の腰を支え、降りるのを手伝った。

    「ありがとう。
    黎翔様」

    一瞬、黎翔の胸に夕鈴は飛び込んだが
    すぐに、パッと離れてしまった。
    そのことが、黎翔には少し寂しく思う。

    「綺麗ですね」

    黎翔の少し先を歩く、夕鈴を呼び止める。
    目の前は、ロブ=ノールの湖が見渡せる開けた場所。

    遠く離宮の篝火も美しく水面を彩っていた。

    「ええ……
    ここは、いつ見ても美しい場所(ところ)。
    朝も昼も夜も……」

    「私の心静かになれる場所。
    何時、どんな時も……」

    夕鈴は、胸に両手を重ねて、静かに瞳を閉じた。
    まるで星鏡に祈るような仕草は、はじめて出会った印象のままで……

    黎翔には、穢れない水の乙女のように見えた。
    どうして、こんなにも彼女のことが気になるのだろうか?
    物悲しく儚げなその様子に、黎翔は不安を掻きたてられた。


    「ここで夕鈴。
    貴女と出会って、私は幸運だった。
    おかげで、命拾いをしました。
    改めて感謝申し上げます」

    黎翔は、夕鈴姫の足元に跪き、その衣に口付けた。

    「黎翔様」

    「ここで……貴方とお会いしたことが数日前のこととは……
    時とは、短いものですね。
    私も、お会いできて良かった。
    お連れの皆様も、誰一人欠けることなく、ご無事で良かったです」

    「夕鈴、ほらまた
    お約束が違います。
    「黎翔」と呼んで欲しいと約束したはず……」

    「どちらでも、良いではないですか?
    きちんと、お名前で呼んでおります!
    これからも私の呼びたいように呼ばせていただきますわ!」

    口を尖らせ、子供のようにプイッと怒り出す夕鈴。
    その姿は、先ほどの姫君然とした宴の面影はなかった。

    「クッ……
    やはり夕鈴は面白い!!!」

    実に楽しそうに、黎翔は屈託無く笑った。
    先ほどの姫君然とした彼女も好きだが、
    生き生きとした表情をする今のほうが夕鈴らしく、黎翔は好きだった。

    取り澄ました顔だけの姫君より、ずっといい。
    彼女は見ているだけで楽しくなる。
    見ていて飽きない。
    仮面をつけて妃に名乗りを揚げる母国の女たちには正直、黎翔はウンザリしていた。

    自分の足元で、自分を笑う黎翔に、夕鈴は顔を更に赤くして怒った。

    「……なっ!!!」



    「黎翔様!!! 
    面白いって失礼ですわ!
    しかも、そんなに笑うだなんて……」


    「私を、からかう為に連れ出したのでしたら」
    私、離宮に帰らせていただきます」

    きびすを返して帰ろうとする夕鈴の手首を、黎翔は捕らえた。
    そのまま……
    彼女を手中に捕らえた。

    「離してください!!
    黎翔様!!!」

    怒った夕鈴は、黎翔を振り払おうとしたが振り払えない。
    緩やかな抱擁でありながら、振りほどけない力で引き止められた。

    「離して!!!」

    激昂する彼女を更に抱き寄せ、彼は強く抱きしめた。
    暴れる夕鈴の耳元で、黎翔は囁く。

    「すまない。
    怒らせてしまったか?
    からかってなどいない」

    「むしろ貴女が好ましくて、褒めていたのだか……」

    「面白いが……
    お国では褒め言葉ですの?
    そんなの、おかしいわ」

    「夕鈴、ホントに悪かった……。
    笑うつもりは、まったく無かったんだ」

    耳元で、囁かれた黎翔の言葉は、夕鈴の心を柔らかく打つ。
    激昂していた彼女も、しだいに、心が凪いでいった。
    はじめ暴れていた彼女は、今では黎翔の声に耳を傾け、身を任せるようになっていた。



    なぜなら、彼は、もう笑ってなどなく、
    真面目で真摯ないつもの彼に戻っていたから。

    夕鈴姫が、信頼する珀黎翔に……
    夜風に揺れる星鏡が、二人の心の様を映しているようだった。





    ……23へ・続く


    2016.02.20.改訂
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    16:NoTitle

    素敵でした!!
    黎翔が言った国のことって…白陽国の王ってことですよねー…(´・ω・`)、
    続き楽しみにしてますねー!!

    2013.01.21 17:30 陽向 #- URL[EDIT] 返信
    18:Re: NoTitle

    陽向さん 
    コメントありがとうございます。
    スイマセン。
    新作『氷結の華』の執筆と、相変わらずのカテゴリ操作しておりました。
    待ってますよね。待ってますよね・・・・今から、UP致します。
    少々お待ちください。

    2013.01.22 16:07 さくらぱん #- URL[EDIT] 返信

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