花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【長編】楼蘭ー離宮編ー21  ※要注意!!!古代パラレル

    楼蘭 






    「それと、もう一つ……お願いしたい。
    私も、“夕鈴”とお呼びしても良いだろうか?」

    「はい、黎翔様。
    どうぞ、お好きにお呼びください」

    聞き馴れた自分の名が、黎翔の口から紡がれると
    ドキドキとした甘い胸の動悸を感じて、夕鈴姫は軽い眩暈を覚えた。

    「夕鈴。
    私は明日の朝、楼蘭へと出立いたします。

    その前に、貴女と初めて出会ったあの場所で
    ……二人っきりで、お会いしたい」

    「湖の畔のあの場所ですか?
    何故?」

    初めて彼と出会った出来事は、
    夕鈴姫にとって、思い出すだけで恥ずかしい出来事……
    瞬く間に、顔の火照りを感じ手元の扇で顔を隠した。



    だけど隠しきれない姫の耳朶が、赤いことに気づいた黎翔は笑み零れる。
    姫を愛しげ見つめると、更に微笑むのだった。

    「夕鈴…………」

    躊躇い無い瞳で、真っ直ぐに彼女の瞳を見つめた。

    彼女を愛しいと思う気持ちは、もう押さえきれない。
    黎翔は、国へこのまま彼女を連れ去りたかった。


    「少々、事情が変わりました。
    はじまりの場所から、貴女とやり直したいのです」

    「…………」

    「夕鈴。
    私は貴女に打ち明けなければならない。

    私自身のことを……
    私の内なる気持ちを……」

    「黎翔様……」

    秘密を抱えている夕鈴姫の心の警鐘が鳴る

    (……これ以上、聞いてはいけない気がする)

    真摯な彼の面持ちに興味を持った夕鈴は、
    彼のことがもっと知りたいという好奇心を止められなかった。

    黎翔の――聞いて欲しい話とは、いったい何だろうか?



    「黎翔様。
    ここで話せないことなのですか?」

    大きなハシバミ色の瞳が、真っ直ぐに黎翔を見つめ返し問いかける。
    夕鈴の揺れる瞳に、不安と動揺が入り混じる。
    黎翔は無言で頷き、安心させるように姫の指先に口付けた。

    「今夜、あの場所で全てお話します」

    二人っきりで……

    「わかりました」

    「黎翔様が、そこまで願うのであれば……
    はじまりの場所へ行きましょう」

    「離宮の裏口に、駱駝を用意させます。
    待ち合わせは、そこでよろしいでしょうか?」

    「感謝します。
    夕鈴」

    ロブ=ノールの運命の車輪は、廻り続ける。
    誰も二人の運命を止められない。






    ……21へ・続く



    2016.02.20.改訂
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