花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【長編】楼蘭ー邂逅編ー 14  ※要注意!!!古代パラレル

    楼蘭





    「但し、私の客人になるのに、一つだけ条件がございます」

    わずかに柳眉を寄せて、
    静かで物悲しげな夕鈴姫の声が続く。

    「ここでの滞在期間中、見聞きしたことは
    秘密にしていただきたいのです」

    「特に私が、ここに居ることを秘密にしてほしいのです。
    この条件が、守れるならば…客人として手厚くもてなしましょう」

    物悲し気な夕鈴姫のその様子は、
    酷く黎翔の胸を騒がせた。

    「もちろん、秘密に致しましょう。
    ここのことは勿論、姫のことも誰にも洩らしません。
    お約束致します」

    「ですが……夕鈴姫。
    貴方の様子が、私は気になる」

    「とても悲しげで……
    是非、訳をお聞かせ願いたい」

    意外な申し出に、夕鈴姫は驚き黎翔を見た。

    確かに国の者にも言えぬ、重い憂いを抱えいる。
    誰かに吐露したいとも思っていた。

    しかし国を支える国王の娘が、弱音を吐くことは許されないと考えていた。
    不安を隠し、姫としてふるまうこと。

    与えられた役割を果たすために、
    父上の元を離れ、ここに隠れて暮らしている。

    共の者さえ知らない自分の心を、
    珀 黎翔という若者に見抜かれるとは……。

    見透かされたことは、恥ずべきことだった。
    だが身勝手でも、誰かに打ち明けて……、心を軽くしたいとも思っていた。
    見ず知らずの旅人。

    ましてや、今日会ったばかりの親切な人に話すことは、憚(はばか)られた。

    (できれば、巻き込みたくない……)

    それは、夕鈴姫なりの優しさだった。
    彼女は、しばし迷い……彼の提案を、断る言葉を探した。



    ……15へ続く



    2016.01.10.改訂
    2012.11.20..初稿
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