花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【長編】楼蘭ー邂逅編ー 3  ※要注意!!!古代パラレル

    楼蘭






    照りつける砂丘の僅かばかりの影に寄り添い、しばしの休憩をする駱駝の群れ。
    キャラバンの屈強な戦士が、一人の青年に水袋を差し出した。

    「……黎翔様。
    飲み水をお飲みください。」

    「いや、私は大丈夫だ。
    それよりも、お前が飲め。
    先ほどから、水を一滴も口にしていないではないか」

    水袋の受け取りを拒否して、黎翔と呼ばれた青年は
    差し出した戦士に、水を勧めた。

    「いえ、私は平気です。
    それにオアシスに着けば、幾らでも飲めますゆえ……」

    「……すまぬ。
    残り少ない貴重な水だ。
    水を欲している者に、私の分も分け与えてくれ……」

    黎翔は、歩き疲れた人々を見渡し、苦しそうに顔を歪めた。
    皆、疲れきった顔をしていた。

    「浩大の先発隊の報告では、もうそろそろ休憩できるオアシスがあるらしい。
    皆の者、今しばらく水を我慢してくれ」

    商人らしくない力強い激が飛ぶ……

    目深に被った日よけフードから、力強い光を放つ紅い双眸と
    商人にしては、端整な美しい顔立ちが垣間見えた。

    どうやら、この青年がキャラバンを率いるリーダーだった。





    タクラマカンの西にある小国“白陽国”
    近年、内戦が続いていたその国は、新しい国王に代替わりをしてからというもの
    めきめきと国力をつけてきていた。

    内戦を制圧し、若いながらも国内外に“冷酷非情の狼陛下”との異名を轟かす国王。

    珀 黎翔陛下その人が、商人に姿を窶やつ
    し、
    少数精鋭の部隊のみを引き連れて、このタクラマカンの大砂漠を越えようとしていた。

    ところが運の悪いことに、砂漠越えの知識を持つ、道案内の商人とはぐれ、
    砂漠のど真ん中で道に迷ってしまった。

    更に運の悪いことに、砂漠越えの経験をした者が部隊に居なかったこともあり……
    乏しい水を分け与えつつ、あてどなくキャラバンはオアシスを探していた。

    陽炎が立ち上る……砂の大地。

    容赦なく吹きすさぶ熱風と果てしなく終らぬ水の無い旅は、
    さすがに屈強な戦士たちの体力を、少しずつ着実に削ぎとっていった。

    もはやオアシスが見つからねば、部隊の全滅は時間の問題だった。

    部隊を引き連れた国王・黎翔も、
    本当はカラカラに咽喉が渇いて水を欲していた。

    しかし自分以上に水を飲むのを我慢して、
    国王である自分を信じて、ついてきてくれる部下たちに水を残したかった。

    (……きっと、もうすぐオアシスが見つかる)

    激を飛ばす黎翔は、砂漠の向こうに必ず青い清冽な水を湛えたオアシスがあると信じて、疑わなかった。
    力強く皆を励ます国王に、キャラバンの誰一人として明るい希望を失っていなかったのである。

    ……4へ続く

    2015.08.23.改訂
    2012.08.12.初稿
    関連記事
    スポンサーサイト
    1933:【長編】楼蘭ー邂逅編ー 2  ※要注意!!!古代パラレル

    『大丈夫だ!』
    『浩大からの先鋒隊の報告では、もうそろそろ休憩できるオアシスがあるらしい。』
    『今しばらく、我慢せよ』
    商人らしくない激が飛ぶ・・・

    目深に被った日よけフードから、
    鋭い紅い瞳と商人にしては、整った美しい顔

    白陽国・国王、伯 黎翔は、商人に姿を偽り、
    少数精鋭の部隊を引き連れて、
    タクラマカンの砂漠を越えようとしていた。

    砂漠の大地が陽炎に揺らめく・・・

    熱風と砂嵐は、部隊の戦士たちの体力を削ぎとっていた。 

    2012.08.初稿

    2015.08.25 01:00 さくらぱん #H6hNXAII URL[EDIT] 返信

    管理者にだけ表示を許可する