花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【IF設定】春を待つ

    E382BBE38384E38396E383B3E382BDE382A6EFBC92EFBC90EFBC85.jpg


    小さな鉢植えの花が、後宮に届いた。
    それは硝子細工のような純白の花。

    ……まだ蕾の小さな小さな蕾が数輪。

    「これは……?」

    珍しく居室に届けられた鉢植えを、物珍し気に眺める女主(おんなあるじ)に
    お付きの侍女たちは、微笑みながら答えた。

    「国王陛下からの贈り物だそうです。
    なんでも高地に咲く、とても珍しい花だとか」

    「まあ、陛下が……
    とても愛らしい花ですね」

    「“セツブンソウ”といかいう花で
    春を呼ぶとのことです。
    蕾が膨らんでおりますので、ここ数日のうちに開花しそうですね」

    「ここのところ庭へも、おいでになれない
    お妃さまのお慰めになれば……

    そう、陛下より伝え聞いております」

    「今日は顔色がよろしいようですね。
    お庭へ行かれますか?
    お部屋に籠もりきりなのも、お身体に障りますし」

    「体調がよろしければ、お散歩などはいかがでしょうか?
    陛下からのお誘いが来ておりますが、どういたしましょう……」

    「そうね。
    病気ではないのですし、陛下がご一緒であれば安心だわ」

    大きくなったお腹を摩りながら
    すっかり母の顔をした夕鈴が
    小さな鉢植えを眺めて、嬉しそうに微笑んだ。

    「春」はもうすぐ……

    愛しいあの方に暖かな家族を。
    そう願って、身ごもった。


    彼女が育む命が、白陽国に「春」を呼ぶ

    セツブンソウよりも早く。

    開花を待ちわびる彼女も、また自らの春を待つ。



    子供という宝物を愛する人のその腕に抱かせるために

    その喜怒哀楽を分かち合う為に……


    白陽国の春は、もうすぐ。



    関連記事
    スポンサーサイト

    管理者にだけ表示を許可する