花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【現パラ】 華のある人生

    幾つも連ねたスワロフスキーが、
    燦然と天井に輝くシャンデリア

    その場に集う紳士淑女が今夜の華々
    優雅なワルツのリズムに合わせて
    パートナーをくみ踊る人々

    その中でもひときわ目を惹く一組のカップル。
    目立つ長身を、black タイのタキシードで身を包み……
    踊るたびに、ふんわりと羽舞うような可愛らしいピンクのドレスを着た初々しい恋人と、
    楽しげに踊る若い姿。

    黎翔と夕鈴だった。
    時計は、もうすぐ深夜零時の鐘を打つ。
    彼らの短い休日は、終わりを迎える。

    たった一人の愛しい彼女(ひと)を見つけてからというもの。
    彼の世界は、鮮やかに変わった。

    彼女と過ごす時間。

    たあいない会話。

    ふれあい……すべてが愉しい。





    夕鈴と出会う前は、寝る間も惜しんで仕事漬けの日々。
    文字通り仕事が、恋人だった。

    土日も分からず、単調な毎日。
    もちろん愉しいなんて、感情は湧き上がらない。

    仕事の無い休日は、憂鬱そのもの。
    慈善パーティーでさえ、独身 女たちのあからさまな欲望丸出しの視線が
    嫌で断ることが常だった……

    女嫌いの珀 黎翔。
    人を寄せ付けない鋭利な微笑と誰にも靡かない美しい美貌。
    いつしか遠巻きに羨望と憧れ、畏怖の対象に。

    容赦ない采配と大胆緻密な戦略で、ビジネス界の時代の頂点を駆けあがる姿に
    「狼陛下」とまで異名をつけられ、業界では恐れられていた。

    そんな彼だから、「ブルー・マンデー」という感情を今まで知らなかった。




    ところが、彼にその感情が生まれ戸惑っている。
    ワルツを踊る手をとり、ぴったりと身体を密着させて恥ずかしげに踊る
    可愛い恋人、夕鈴。

    裏表のない純粋な好意の笑顔を黎翔に向ける彼女は、いつの間にか黎翔の心許す存在に。

    まだ学生の夕鈴が恋人になり、二人心寄せる存在になったのは、つい最近のこと。
    ようやく休日を二人で過ごすことが普通になっていた。

    はじめての恋人に、不器用な愛情表現の黎翔。
    ワルツを踊っていた黎翔は、時計の針を見てため息をついた。

    「日付が、変わってしまう。
    明日、仕事に行きたくないな。
    このまま君と過ごしていたい」

    「だめですよ、黎翔さん。
    李順さんが“明日の朝、お迎えに参ります”
    そう言ってたじゃないですか!」

    「行きたくない。
    まだ君と一緒に居たい……」

    切ない想いを滲ませ、
    真摯な紅い瞳で夕鈴を見つめる黎翔

    「もう仕方ない恋人(ひと)ですね」

    小さなため息と、少し躊躇う小さな声。
    困った人だと言いつつ……嬉しげにはにかんで笑顔をくれた。
    その可愛らしさに、黎翔の心はドキンと跳ねた。

    ……何度君に恋すればいいんだろう。

    美しい彼の顔の至近距離に耐えられず、
    視線を外した夕鈴。

    なにをしても可愛らしい恋人に、黎翔の頬は緩みっぱなしだ。
    それだけ余計に、明日の朝の別れが辛い。

    つくづく……明日も休みであればいいのにと、はじめて黎翔は本気で思った。

    「(部屋の)
    鍵あるんだ。
    どうする?」

    あからさまな劣情と情熱を含む掠れた甘い声を耳朶に囁かれ。
    意図を読み取り、真っ赤になった夕鈴の顔。

    流石に彼女だって子供でない。

    真っ赤になったその顔を、黎翔の胸に埋めた。

    「夕鈴。
    チークダンスには、まだ早い。
    顔をあげて……」

    「むり……です。
    黎翔……さ…ん」

    消え入るばかりの小さな彼女の声に、
    黎翔は愉しげにクスクスと小さく笑った。

    彼女の存在が、僕に無限の彩りをくれる。

    この感情は君がくれたもの。

    僕の人生は、彼女無しではありえない。

    「……好きだよ、夕鈴。
    愛してる!」

    耳元で囁く
    君への愛の言葉

    「私も好きです」

    恥ずかしげに、でも……
    ハッキリと応えてくれた夕鈴。

    僕は嬉しくて、ワルツが終わる前に
    君を伴い、輪をそっと抜け出した。

    行き先は秘密

    つかの間の恋人達の休日。

    時計の針は、あと少しで
    魔法のキレる、明日を指す


    魔法が切れるまで
    誰にも邪魔されず、二人仲良く過ごそうよ。

    誰も知らぬ帳の中で……



    2016.07.16.改訂
    2016.07.14初稿







    【今日の花言葉】
    ノウゼンカズラ 凌霄花 (華のある人生)

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