花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【長編】楼蘭―邂逅編― 12  ※要注意!!!古代パラレル

    楼蘭




    水滴に彩られた
    彼女の誰何(すいか)の求めに応じ
    黎翔は、茂みから素直に彼女の前に姿を現した。

    警戒を解くために、わざと腰の剣から大げさに手を離す。

    「すまない。
    君を驚かすつもりはなかった」

    謝罪し日よけのフードを、後ろへとなぎ払う。
    彼女に顔を見せるなど、愚かな盗賊ならしないであろう。

    数十日間もの間、砂漠を旅してきたであろう日焼けした浅黒い肌。
    品のある西の国の衣装と、黒い日よけマント姿の若い男。

    漆黒の短髪と、優しい光を帯びた瞳。
    生き生きと輝く紅い双貌が印象的な男らしい精悍な顔つき。

    遠目でそれだけが、彼女の知り得る情報だった。

    当然といえば当然。
    彼女は、まだ警戒を解かない。

    「あなたは、いったい誰なのですか?」

    更なる追求の声。
    顔に滲む不安の色を、微塵も感じさせない声に黎翔は驚く。

    凛とした涼やかな声。
    落ち着いたその声に、静かな怒りが滲む。

    人を従わせるのに慣れた言葉遣い。
    気品ある立ち居振る舞いと犯しがたい雰囲気に目を見張る。

    こんな場所で水浴びをしているのだから、土地の村娘かとも思ったが……
    もしや身分の高い娘なのか?


    惜しいな。
    ……彼女の弾んだ笑い声が聞きたい。

    初めて出会う娘に、そんな考えが浮かび黎翔は、一人苦笑する。

    「私は、珀 黎翔。
    タクラマカンより西の白陽国から来た」

    黎翔は、なぜか偽りの名を彼女に教えたくなかった。

    彼女の口から偽りの名前で呼ばれたくないと思った。

    彼女には、本名で呼ばれたいと、そう強く願った。

    それが、恋とは知らず……

    「砂漠を越えて、楼蘭王国に向かっていたのだが……
    道に迷ったらしい」

    「水が尽きかけて困っている
    まだ砂漠に仲間がいて、死にかけている。
    助けては、くれないだろうか?」

    まだ他に仲間が……
    私に、助けてと?

    「では盗賊や
    刺客の類ではないのですね!」

    「神に誓って ……
    私たちは断じて盗賊や刺客ではない」

    「確かに……貴方の服装は、カシュガルより西の国のご衣装。
    わかりました。
    私に、助けを請うたのも何かのご縁。

    貴方を信じましょう。
    珀 黎翔殿」


    ……13へ続く

    2016.01.07.改訂
    2012.08.09.初稿
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    1989:【長編】楼蘭―邂逅編― 12 ※要注意!!!古代パラレル

    水滴に彩られた 彼女の誰何(すいか)の求めに応じ
    黎翔は素直に、彼女の前に姿を現す。
    警戒を解くために、腰の剣から、手をはなした。

    『すまない。驚かすつもりはなかったんだ。』

    謝罪し、日よけのフードを 後ろへなぎ払う。
    数十日間もの間、砂漠を旅してきたであろう 日焼けした肌。
    黒っぽい西の国の衣装と黒い日よけマントの若い男
    漆黒の髪と柔らかい光を帯びた瞳。
    輝く紅い双貌が印象的な・・・・精悍な顔つき。
    彼女は、まだ警戒を解かない。

    『あなたは、いったい誰なのですか?』

    更なる追求の声
    顔に滲む不安の色は、微塵も感じさせない声に 黎翔は驚く。
    凛とした涼やかな声。
    落ち着いたその声に、静かな怒りが 滲む。
    人を従わせるのに慣れた言葉遣い。
    気品ある雰囲気と
    慣れた言葉遣いに 目を見張る


    (惜しいな。)
    (・・・・弾んだ声が聞きたい。)

    初めて出会う乙女に、そんな考えが浮かび 一人苦笑する。

    『私は、珀 黎翔。    白陽国から来た。』

    黎翔は、なぜか偽りの名を彼女に教えたくなかった。
    彼女の口から偽りの名前で呼ばれたくないと思った。
    彼女には、本名で呼ばれたいと そう強く願った。

    『タクラマカン砂漠を越えて、楼蘭王国に向かっていたのだが・・・』
    『どうやら道に迷ったらしい。』
    『水が尽きかけて困っていた。』
    『まだ、砂漠に仲間がいる。』
    『助けては、くれないだろうか?』

    (仲間・・・助けてと・・・)
    「盗賊や刺客の類ではないのですね。」

    『神に誓って・・・私たちは、盗賊や刺客では断じてない.』

    「・・・確かに、貴方の服装は、カシュガルより西の国のご衣装。」
    「わかりました。貴方を信じましょう。珀殿。」


    ・・・・続く

    2012.08.09.初稿

    2016.01.09 00:54 さくらぱん #H6hNXAII URL[EDIT] 返信

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