花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【Yコラボ】アリスの口付け 18  空に一番近い場所で……

    ……楽しい時間は、あっという間に過ぎていく。


    もう時計の針は、23時だった。
    まだまだ遊び足りない気がするけれど……もうすぐデートの時間が終わりを告げる。
    僕たちは、お互いに何も言わなくとも、自然と寄り添っていた。


    ……
    …………
    ……………………


    ミラーハウスで、それぞれ離れ離れで、お互いにお互いを探していた私たち。
    このまま離れ離れのまま……はぐれちゃったらどうしよう。

    そんな馬鹿な考えが浮かんで、私は本気で悲しくなった。
    ミラーハウスで迷いながら、黎翔さんを探し求めた道のり。

    ほんの少しの時間、離れていただけなのに……
    とても長い間、離れていたように感じた。

    だから出会えたときは、ものすごく嬉しかったし、心の底から、ホッとして安心した。

    出会った瞬間、黎翔さんが力強く抱き締めてくれた時は、
    心から湧き上がる想いを止められなくて
    ボロボロと子供みたいに彼の胸で泣いてしまった。

    ぎゅっと握り締めたこの温かな手を、もう二度と離さないで……
    離れたくない!
    あんな思いは、もう二度と味わいたくないの。

    黎翔さんと繋がれた手が熱い。

    私の頬を流れた涙の痕が乾いてく……
    泣きじゃくった私のひどくみっともない顔を見られたくなくて
    私は俯いた顔を上げられず……黙って彼に連れ添って歩いた。

    「どこか静かな場所に行きたい……」

    「いいよ。
    何処に行こうか?……」

    ぽつりと呟いた私に、黎翔さんが、うなづく。
    急に甘えん坊になった私は、黎翔さんの肩にもたれて……
    ゆっくりパークを、あてどなく歩いてく。

    甘く…切なく……

    君の温もりを感じて……

    お互いにお互いを、唯一無二の存在。
    無くしたくないと再認識したから……


    …………

    ……………………

    ………………………………


    やがて大きな観覧車の前まで歩くと……

    「観覧車に乗ろうか?」

    優しく囁く黎翔さんに、私はコクンと肯いた。

    二人で観覧車に乗り込むと
    私は彼の肩に頭をあずけて夢見心地で瞳を閉じた。

    肩越しで伝わる彼の温もり。

    「ゆーりん
    見て、夜景が綺麗だよ」

    ゆっくりと瞳を開けた私に飛び込んできたのは……
    眼下の星空と見紛う景色。

    観覧車が、ぐんぐん高度を上げていくと
    おとぎの国が、ますますオモチャ箱に見えた。

    とくん……
    とくん……………とくん……………

    息遣いさえ聞こえるような静かな密室に
    ぴったりと寄り添うと、自分の心音が彼の耳にも届きそう。

    静かな美しい時間に
    私は、身も心も黎翔さんに委ねるのだった。


    ……
    …………

    僕の肩で、夢見心地の夕鈴。

    とろんと濡れたようなハシバミ色の瞳に、
    煌く地上の星々のような夜景が映りこむ……

    「ゆーりん?
    疲れて眠くなった?」

    「ううん……
    眠くない」

    突然、彼女は僕の胸に飛び込んできて
    僕の背中を抱き締めた。

    「黎翔さん……
    私を抱き締めていてね。
    離さないで……」

    「どうしたの?
    ゆーりん?」

    「なんでもないの。
    ねぇ、ぎゅっと抱き締めて………」

    彼女から、甘えてくれるなんて普段は無いから
    僕は、すごく戸惑いつつも嬉しくて………

    こんなチャンスは二度と無いかも……
    僕は、壊れ物を扱うかのように優しくギュッと抱き締めた。

    僕の両腕に、僕の大事な宝物。
    僕の心まで温める、沁み渡るような……優しい彼女の温もり。

    「ゆーりん。
    …………愛してる」

    「私もです。
    …………黎翔さん」

    僕は、しっとりとした大切な人の存在を感じつつ
    柔らかな身体を愛しんだ。
    彼女の髪から、甘い香りが香る。

    今なら……言える?
    僕は、彼女に言わなきゃいけないことがある!

    彼女の甘い香りに、促されて……
    僕は、とうとう告白をする決心をした。

    「ねぇ、ゆーりん。
    聞いてくれる?」

    「はい?
    何でしょうか?
    黎翔さん?」

    少し緊張したような黎翔さんの固い声に
    私は、少しだけ身を離した。

    真剣で、ちょっと怖い顔。
    彼の緊張が私にも伝わって、私まで緊張してきた。

    至近距離で見る彼の顔は、
    夜景に照らされ、彫りの深い顔立ちが際立って見える。
    燃えるような深紅の瞳が、私をジッと見つめていた。

    もう貴方以外、何も見えない。
    きっと私は酔ってるの。

    …………貴方に酔わされ、その瞳に。
    身もココロも魅入られ、瞳が逸らせない。

    珍しく、なかなか言い出さない黎翔さん。
    言いよどむ彼に、
    私はもっと緊張してくるのがわかった。


    ……続く
    関連記事
    スポンサーサイト

    管理者にだけ表示を許可する