花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

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    【Yコラボ】アリスの口付け 16 てんとうむしのライド

    「へくちッっっ!」

    甘いムードを、私のくしゃみが吹き飛ばした。

    「ゆーりん、風邪ひいた?
    寒くなってきたね」

    「風邪ではないと思いますけど……
    確かに寒いですね」

    「デートの続きをしようか?
    おもいっきり遊べは、寒さなんてきっと吹き飛ばすよ」

    「ゆーりん、近くに、
    このパークで一番人気のアトラクションがあるんだ。
    やってみない!?」

    「いいですね。
    やりましょう」

    「こっちだよ。
    ゆーりん」

    黎翔さんに手を引かれやってきたのは、小さなトンネルの入り口。
    この奥にアトラクションがあるという。

    薄明かりのヒカリゴケが淡く染める細いトンネルを、
    二人肩を寄せ合い進んでいくと、……やがて水の流れる大きな川の音が聞こえた。
    まだ位置的に山の中だけど、洞窟風の開けた場所に抜け出た。

    大きなテントウムシ型の丸いボートが、人工の川にプカプカ浮かんでいる。
    赤や黄色、青、緑、橙色、ピンクといったカラフルなテントウムシ型の乗り物は、
    透明なドーム状の密閉型の屋根がついていた。

    見ようによっては、カラフルな水玉UFOみたい。
    なんだかユーモラスで可愛い雰囲気で、微笑ましいのだけれど……これがパークで一番スリリングな乗り物なのだと言う。
    乗り込んでから、黎翔さんに説明されて私の顔は青褪めた。

    ウォーターボートスライダーと、コーヒーカップとジェットコースターを足して、三で割ったもの。
    訳のわからない彼の説明が、私の恐怖心を煽る。

    覚悟も無いまま…アトラクションのライドに乗り込んでしまった私。
    容赦なく透明なドームの屋根が閉められた。
    アトラクションの案内人のお姉さんの眩しい笑顔が恨めしく感じる。

    「お客様、危ないですから、お席にお座りください。
    楽しんできてください……いってらっしゃいませ♪」

    アトラクションの案内人のお姉さんに送り出されて、あっという間にライドは川の流れに乗った。
    私たちの乗ったライドは、すぐに曲がりくねった流れを、順調に出発していった。

    「ゆーりん
    ……ドキドキするね」

    「黎翔さん…………」

    密閉空間に、二人っきりになったのに、このドキドキは恐怖心から来るドキドキで……ダメだわ。緊張してきた。
    私は、ライドの中央にあるハンドルのような捕まり棒を
    がっちり両手で、握り締めるのだった。

    ……最初は小さな滝を落ちながら、緩やかな流れをたゆとうように下っていった。
    時折ライドは山の外に出て外の夜景を楽しめた。
    岩山には夜にも楽しめるように、光る花々が咲いていて、とても綺麗だった。

    「ゆーりん
    そんなにガチガチに緊張しなくていいよ。
    もっと楽しもう!」

    「Σ!
    黎翔さんっっっ!

    なななななななななななっ
    何するんですかっっっっっーーーーーーっ」

    突然、ハンドルを回し始めた黎翔さん。
    回すとライドが、コーヒーカップのようにくるくると廻り始めた。

    ライドの下に強力な磁石が埋め込まれているそうで
    水の上でも、遊園地のコーヒーカップと同じ動きが出来るらしい。

    水の流れと、ライドの回転運動……
    ライドの動きが予測不能で、私はすでに目を回しはじめていた。

    私が楽しめたのは最初だけ……後は、恐怖の連続だった。
    強烈な渦潮に巻き込まれたり……不規則にぐるぐる廻り右に左に水の動きに翻弄されるテントウムシに、私は胃が押し上げられる感覚を覚えた。

    だんだんと大きくなる滝は、着地も予想外で……
    何度も、大きな水飛沫がかかった。

    ラストの大滝では、ライドが宙を飛んだ。
    そのまま高波を上げながら水中を勢いよく、ライドは突っ込んで進む。終点まで絶叫続きののあっという間の時間だった。

    「大丈夫?
    ゆーりん?」

    「大丈夫……れないれふ
    ちょうと、ひゃふませて」

    終始、元気で楽しそうな黎翔さんと違って、私は乗り物酔いが酷くて……支えてもらってようやく歩けたほど。

    噂に違わぬ絶叫系アトラクションに、私の咽喉は枯れた。
    ドームの屋根のおかげで、濡れなかったけれど、全力で叫んで寒さは吹き飛んだ……むしろ今は暑いくらいだ。

    黎翔さんには悪いけど
    …………もう二度と、乗りたくない。



    「次は、何して遊ぶ?」

    パークの地図を見ながら、本気で悩む元気な彼に……

    もう乗り物はこりごり…………乗りたくないと
    私は、目の前のミラーハウスを指差した。

    「ミラーハウス?」
    「はいっっ!」

    あそこなら、怖い思いなんてしないから。
    まさかあんなことになるなんて、この時点で私は思いも寄らなかったけど……。

    「いいよ」

    ニッコリ微笑んだ黎翔さんは、私の手を引いて歩き出す。
    私は、繋がれた自身の指が熱を帯びているのを感じていた。

    暖かい………。
    ホンワリと嬉しさを噛みしめて、私は自然と笑みが浮かんでしまっていた。



    ……続く
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