花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【Yコラボ】アリスの口付け 14  星空の告白

    それは、あるパーティの帰りだった。
     
    取引先の創立何十周年かのパーティに、
    いつも通り私は、ドレスアップして黎翔さんと出席していた。
    黎翔さんは濃紺のスーツに身を包み、カッコよさを際立てせていた。
    会場では黎翔さんが、良家のお嬢様たちの視線を一身に受けていた。

    いつも通り…のはずだった。
    パーティが終ったら、そのまま家の付近まで送ってもらって、
    それで今日のバイトも終るはずだった。

    その日は黎翔さんの一言で、ちょっとスケジュールが変更になった。

    「夕鈴。
    今日は、もう少し時間もらってもいいかな?」

    「……はい。
    大丈夫ですよ!?」

    「ありがとう」

    そう言って、黎翔さんは微笑んだ。
    私も何だか嬉しくなって、微笑み返した。

    そして連れていかれた場所は、星が綺麗な丘の上だった。
    空には、零れ落ちそうな星々が瞬いている。
    月も西に沈んで、冴えた星だけが夜空に鎮座する。

    「綺麗ですね~」

    「そうだね」

    「はいっっ!
    街中ではこんなに綺麗には見れませんよ」

    「喜んでくれて良かった」

    「有り難うございます」

    黎翔さんと私は、しばらくの間
    隣に並んで空を見上げていた。
    一言も発することなく…静かで、穏やかに流れる刻。

    しかし、その静寂も黎翔さんの一言で破られた。

    「好きなんだ」

    「!?」

    それは一瞬のことで、不覚にも聞き逃してしまっていた。

    「聞こえた?」

    「何がですか?」

    「だから僕は、
    君が好きだって事!」

    「はい、聞こえまし…
    って!
    えっっ~~~」

    「そんなに驚かなくても…
    傷つくなぁ~」

    「いや、黎翔さん。
    冗談なんでしょ?」

    「冗談なんかで、
    愛の告白なんてしないよ」

    「………」

    「夕鈴?」

    「…………」

    「夕鈴????」

    私の目の前で、黎翔さんは掌を左右に振る。

    「ねぇ、夕鈴?」

    私の薄茶の瞳から、スゥーと一滴、涙が零れていた。

    「えっ?夕鈴。
    泣くほど嫌だった?
    困らせてごめん!
    もう言わないから!!
    冗談だよ!
    うん、冗談っっ!!」

    黎翔さんは慌てて、訂正の言葉を紡ぐ。
    それを聞いた私は、左右に首を激しく振った。

    「違うんです!!!
    私…嬉しくて。
    だって、私もずっと前から
    黎翔さんの事、好きだったから……」

    「夕鈴…じゃあ。
    僕の恋人になってくれるの?」

    「勿論です!
    いえ、私で良ければ、お願いします」

    そうして、黎翔さんは私の身体を引き寄せて
    優しく抱きしめてくれた。

    私は夢なんじゃないかという疑いを、
    黎翔さんの身体を抱きしめ返すことで現実の事なんだと受け入れた。


    嬉しくて、幸せで。
    絶対、忘れられない星夜の事………。


    ……続く
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