花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【Yコラボ】アリスの口付け 13  運命

    程なくして、私の偽婚約者のバイトは
    いよいよ本格的になった。

    社長さん…もとい黎翔さんは
    あちこちのパーティに、私を付き添わせた。

    突然、降って湧いたような婚約者の存在。
    何処に行っても注目されることになった。

    男性たちのいぶかしむような視線。
    女性たちの鋭い視線。
    時には化粧室で、あからさまな嫌がらせなんてのもあった。

    でも私は兎に角、頑張った。
    黎翔さんの婚約者に見えるように、言動に気を付けた。
    黎翔さんの偽婚約者として……。

    おかしなもので、私は少しでも家計の為になればと
    この特別なバイトを引き受けたはずだった。

    ……なのに、いつの頃からか
    黎翔さんの役に立ちたいと思うようになっていた。
    多分、その時にはもう好きになっていたんだと思う。

    その洗礼された仕草に。
    その信念に満ちた瞳に。

    そして私は、知ってしまった。
    黎翔さんの二面性を。

    狼陛下と小犬陛下の二つの顔を。

    醸し出す雰囲気の違いに、最初は戸惑ったけれど、
    でも段々どちらの黎翔さんもいいなって思う私がいた。

    くつろいだ時に見せる小犬も。
    誰からも畏怖される狼も。
    どれも、私を魅了した。

    でも私は、ただのバイトであって、
    雲の上野存在の黎翔さんに、恋するなんておこがましい。
    だから、絶対にこの恋は秘したままバイトに精を出すつもりだった。

    『好きなんです……』

    何度、そう告げたくなるのを我慢したかしら。
    何度、枕を濡らす夜を過ごしたかしら。


    そして………あの夜が訪れる。

    ……続く
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