花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【長編】 君を守れなかった僕の自罪 3

    寝台の上、白い敷布を被った夕鈴は、頑なに私を拒む。

    「申し訳ございません。
    どうか、私を捨て置きください……」

    顔は見えずとも、君は泣いてる様だった。
    敷布から覗く、伏せた顔を覆う、やけに白い、やせ細った両腕が痛々しい。
    はらはらと、寝台へと零れ落ちる涙は
    朝陽に煌き、透明な白露のように寝所に煌いた。

    「いやだ……夕鈴。
    何故そんなことばかり言う?」

    「君を捨て置くなど……僕には出来ない。
    君が居ない未来など考えられない」

    「どんな姿でも、僕は君を愛している」

    その言葉を聞いた夕鈴は、更に泣き崩れた。
    静かな室内に、君のすすり泣く姿が痛々しい。
    僕は、深く心の傷を負った夕鈴を抱き締め、慰めたくなった。

    「久しぶりに、ゆーりんの顔が見たい。
    顔を見せてくれないか?」

    一歩ずつ君に近付く僕に
    君の鋭くも悲しみに満ちた拒絶の声が響いた。

    「陛下!
    イヤっ!」

    あと少しで、夕鈴の肩に触れられるというところで……
    君は、するりと僕の手から逃げて
    敷布を被ったまま……
    軽やかに庭へと駆け出して行った。

    僕は夕鈴に拒絶されたことがショックで
    なかなか現実から立ち戻れない。

    もう誰も居なくなった寝台に手を伸ばしたまま
    固まっていた。

    現実に引き戻されたのは、夕鈴が階を下りてゆく
    小さな足音を聞いた時だった。

    僕とすれ違い様、彼女は何と言ってた!?

    “さよなら……”

    新たな涙と共に、確かにそう言ってなかったか?






    僕は、我に帰ると彼女を追って、自分も後宮の庭へと駆け出した。
    いつの間にか、景色が一変するほどの深い朝霧がたちこめて
    夕鈴の姿を隠す。

    武人として培った黎翔の耳が、君の足音を捉えた。
    夕鈴は、後宮で一番大きい池に向っているらしい。
    僕は、考えるよりも先に走り出していた。

    疑問が浮かぶ。
    何故、そんなにも君は僕を拒むのか?
    彼女に問いたださねば、気がすまない。
    出遅れたが…所詮、女の足。
    きっとすぐに彼女に追いつける。

    ところが、愛らしい僕の兎は、思いのほか逃げ足が速く
    僕はまったく追いつけないまま、その池についてしまった。


    ……続く






    SNS内部・ハロウィンパーティ突発企画
    口裂け子さんと絵師Dさんのネタをお借りしています。
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