花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【Yコラボ】アリスの口付け 9 怪しいバイト

    煌びやかなパレードの中、
    黎翔さんの隣で、夢見心地で幸せな気分に浸る私。

    流れる光の洪水の中……
    ふと黎翔さんとの
    不思議な運命的、出会いを思い出していた。

    ……
    …………
    ……………………

    出会いは、
    今から3年前。

    私がまだ高校生の時で……。
    父の、あの一言がキッカケだった。

    「夕鈴。
    割のいいバイトがあるんだが……」

    「バイト?」

    「ほら、
    お前バイトを増やしたいって、
    前に言っていただろ!?」

    「確かに言っていたけど、
    よく考えてみたら、
    時間のやりくりが大変かなぁ~って……」

    「そんな心配いらない、
    バイトだよ」

    「ある会社ビルのフロア清掃なんだが……
    “割がいい!” “時間の融通が利く!” “高校生でもOk!”
    ……と、なかなか条件が良くてなぁ。
    いま夕鈴が、かけもちしているバイトを全部辞めても、
    バイト代が増額になるんだよ。

    ……ほら!?
    なかなか、いいバイトだろ!?」

    「とうさん。

    そんな夢のようなバイトが、あるはず無いじゃない!
    また、騙されたのよ!」

    「そんなことないぞ!
    それってウチの会社の本社ビルだし……」
     
    「雇い先は、本社の秘書課だから
    絶対大丈夫だって!
    父さんが保証する!!」

    父さんと、そんなやり取りをした数日後。

    人の良い父さんが、騙されたこと数知れず……
    好条件のバイトに、かなり疑う気持ちを持ちつつも……
    私は、そのバイトの面接を受けることにした。

    面接官は、結構イケメンの眼鏡の青年だった。
    “社長の秘書をやっています”と
    簡単な自己紹介をされた。

    (この人、若い人みたいだけど社長の秘書だなんてエリートなのね)

    てっきり人事部のおじさんが、面接官だと思っていた私は、
    いつもの面接と違って、変に緊張してきた。

    銀縁の眼鏡越しに、値踏みされているような厳しい眼差しに圧倒された。

    実はこの人、めっちゃ怖い人?
    それとも面接だから、こんなに怖く感じるのかしら?
    やだ、手のひらに変な汗が出てきちゃった。

    「貴女が、応募者ですね」

    「はい!
    宜しくお願いいたします。
    汀 夕鈴です」

    「元気があって、宜しい!
    ところで貴女、高校生と伺っていますが……」

    「はい…………そうですが?」

    「高校生ですか……
    それは、ちょっと例のバイトに、
    採用するというわけには、いきませんねぇ……」

    「はい??」

    「いえ、こちらの話です。
    一応、確認だけはしておくと致しましょうか!?」

    「確認ですか?」

    「ええ。
    率直に聞きますが……貴女、彼氏は居ますか?」

    この会社は大丈夫なのかしら?
    と思ったのは、この時だった。

    だって、ただのフロア清掃のバイト面接で
    彼氏の有無を聞かれるとは思わなかったから。

    私は今までのバイト先をすべて辞めて、
    この面接に臨んでいた。

    落とされるのは絶対に困る!

    食べ盛りの弟がいる、うちの家計は毎月、火の車。
    進学を望む弟の塾代も、バカにならない!
    私の脳裏に、可愛い弟の顔が浮かんで消えた……

    絶対に、このバイトを受かってやるっっ!
    太ももの上で重ね合わせた両手に力が入った。

    私は、この変な質問が仕事にどう繋がるのか疑問を持ちつつ……
    分らないまま正直に答えた。

    「いいえ、居ませんが……
    それが何か?」

    「そうですか。
    それならば、結構です」

    「汀 夕鈴さん
    貴女を採用いたします!」

    「は、はいっっ!
    有り難うございます。
    一生懸命、頑張ります!」

    こうして私は、このバイトを始めることとなった。



    ……続く
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