花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【長編】 君を守れなかった僕の自罪 1

    「陛下っ!
    大変だっ!
    お妃ちゃんが刺客に襲われ、怪我をした!」

    何……!?

    突然、寝所に飛び込んで来た浩大の報告に、黎翔は耳を疑った…
    そのまま……
    着のみ着のままで刀を掴み、自室を飛び出した!

    昨夜は、いつも通り
    夕鈴と楽しい夜を、過ごして別れた。

    あれから、さほど時は過ぎていないはず……

    危険を知らせる警笛も、警護の者の報告も黎翔は聞いていない。

    おかしい!
    いったい、いつの間に刺客が来たんだ?
    否、それよりも夕鈴は無事なのか?

    逸る気持ちをおさえても、悪い予感しかしない……

    怪我をしたという報告だが……
    君は無事なのか?
    命に別状は無いのか?

    鉛のように、自分の脚が重い。
    私の部屋から、さほど離れていないはずの
    後宮にある彼女の部屋が、酷く遠く黎翔には感じたのだった!

    ようやく後宮にある夕鈴の自室に来ると、侍女たちが廊下で泣いている。

    夕鈴の部屋の入り口からは、強い消毒薬の匂いが立ち込め、
    緊迫した表情の侍医・医官たちが、せわしなく出入りしていた。

    ……そんなにも怪我は酷いのか?

    君を失うかもしれないと思うと、黎翔は心臓が凍りつく。

    幽鬼のごとく夕鈴の部屋へ近づくと、
    それに気付いた夕鈴付きの侍女が私を止めた。

    「陛下、申し訳ありません!
    私どもが付いていながら……

    只今、お妃さまには、お会いできません!
    陛下、お引き取りくださいませ!」

    「何故だ?
    私は、彼女の夫だぞ!」

    「お妃様の為です!
    なにとぞ、お聞き入れくださいませ!」

    「ならぬ!
    妃の怪我の様子を見るだけだ!
    そこを通せ!」

    「いけません!
    おあきらめください!」

    部屋への入り口に立ち塞がる侍女は、一人……また一人と増えていく。
    どの侍女も夕鈴を敬愛している侍女たち。
    私に立ちふさがるなど、誰もが命が惜しくないらしい。
    みなが皆、涙で袖を濡らし、誰もが私に夕鈴を会わせないようにする。
    侍女たちとの睨みあいは、しばらく続いたが……
    私が折れた。
    主を想う彼女たちの必死さに免じて、今日は引き下がることにした。

    「では、せめて
    怪我をしたのは“何処なのか”教えてくれ……」

    「申し訳ありません。
    それも私どもの口からは、申し上げられません……」

    さめざめと泣き崩れる侍女たちに気圧されて、
    私は仕方なく自室に戻った。

    しかし、やはり彼女の怪我の様子が知りたい。

    夕鈴を治療したであろう侍医を呼び出したが、
    まだ夕鈴の治療中とのことで、来れないとの連絡があっただけだった。

    ……続く

    SNS内部・ハロウィンパーティ突発企画
    口裂け子さんと絵師Dさんのネタをお借りしています。
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