花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    黒龍【長編】果樹の杜 3

    DSCN0532-20150423.jpg
    林檎の花・2015.04.23.撮影


    少し初夏めいた陽気に、黒龍が作りだす風が心地よい。

    荒々しさを増した馬上で、
    私は陛下にしがみつく理由ができて嬉しかった。

    果樹の木々と春の光が織りなす光と影。
    輝く春の景色は、飛ぶように後ろへと流れていく。
    ちょっぴりスリリングな黒龍のスピードは、軍馬ならではの速さで……
    やがて、あっという間に小高い丘の頂上に着いた。

    落馬しないように、しがみつくのに夢中だった私は、
    黒龍の足が止まり、丘の上の目的地に着いたことをしらなかった。

    「夕鈴、着いたよ。
    顔を見せて……」

    優しく声をかける陛下の声に、ハッとして見上げると……
    青空を背に、至近距離で見つめる陛下と目があった。

    「……さっきは、ゴメン。
    君を怖がらせてしまった」

    少し悲しそうな小犬陛下の顔。

    どうしてそんな顔をするの?
    落馬しかけた私が悪いのに……

    「私のほうこそゴメンナサイ。
    陛下と二人っきりで遠乗りなんて
    久しぶりで……一人で、はしゃいじゃって」

    「陛下を怖がってなんかいません。
    陛下に怒られるようなことをしたのは、私ですから」

    「呆れて、
    私を嫌いになりましたか?……」

    私は、心臓が凍るほど冷たい陛下の言葉を覚悟しながら
    「嫌いにならないで…」の願いと共に、陛下をギュッと抱き締めた。

    「嫌いになんか、なるものか。
    ……夕鈴。
    君が好きだよ。」

    壊れ物を扱うかのように優しく抱き締め返された陛下の腕の中で、
    啄ばむような優しい口付けを陛下と交わした。



    嫌われてない。
    陛下が、私を好きって言ってくれるのが
    こんなにも、くすぐったくて…嬉しい。

    私は、心に溢れてくる嬉しさを言い表せなくて
    陛下の優しい口付けに、私も口づけで返した。



    私から陛下に、口付けなんて、王宮では恥ずかしくて出来ないけど。
    ここには、侍女も老師も居ない。
    二人っきりだから……
    少し大胆になれた。

    私からの口付けに、嬉しそうな陛下の顔。
    甘くて拙い口付けの雨に、二人酔いしれていた。

    「陛下……好きです「ああ、私もだ、夕鈴」」

    私たちは、それ以上の言葉は要らなかった。
    お互いの唇の温もりで、互いの愛を確かめあえたから。

    ……続く
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