花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【短編】梅の香

    「お妃さま…
    陛下から、見事な花枝が届きました……」

    ひと抱えはあろうかという、古枝に見事に咲いた紅梅のひと枝。
    芳しい香りが、部屋中に漂う。

    「お妃さま
    陛下から御手紙をお預かりいたしました」

    「ありがとう…」

    文箱を開けると几帳面に折られた手紙と共に、薄紅の梅の小枝が入っていた。

    “身体の具合は、どうか?
    君が床に伏せってからというものの…
    宮中は、灯火が消えたようだ…”

    “君の花の顔が見たい。
    早く良くなってくれ…梅園が見頃だそうだ。
    元気になったら、一緒に見に行こう……”
    文と、贈られた梅の花を夕鈴は、交互に眺めた。

    ふわりと優しい風が、梅の香りを夕鈴に届けた。

    ホロリと、陛下の優しさが身に染みる。

    目を閉じれば…
    そこは梅の香りが漂う満開の梅園。

    優しく笑う陛下が居た。

    (早く良くならなくてはね……)





    しばらくして陛下のもとにも、一通の文が……

    丁寧に四つ折りにされた料紙に一言。
    夕鈴みずからの手で…
    “約束楽しみにしております”

    梅の香が香る料紙からは、陛下が贈った梅の花枝がひと花添えられていた。




    その後、春たけなわの梅園を陛下と夕鈴が訪れたのは、言うまでもない。


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