花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【短編】ちょこれいとな君に♪

    「はぁ~~
    失敗したわ……」

    少し憂鬱なお天気。
    夕鈴は、街角のショーウィンドーに映る自分の姿に、ため息まじりに、そう呟いた。

    悲しげその視線を、自分の腕に落とす。
    いつもは白い、その肌が、今は健康的な焼けた小麦粉色……

    真夏なら、何にでも似合うその肌の色は……
    真冬のこの時期に、手持ちの私服が似合わない。

    「ちょっと調子に、のりすぎちゃったかな……」

    顔をしかめて呟く夕鈴の脳裏には、
    二日前の楽しかった……恋人との日々。

    南半球での真夏のバカンス

    真っ青な空に白い雲。
    真夏の青い海。
    白い砂浜で、心ゆくまで二人で楽しんだ。

    ――恋人である黎翔さんと……

    日焼け対策は、しっかりとしたはずなのに
    なんでこんなに焼けちゃったんだろう?

    はぁ~~

    もうすぐバレンタインだというのに…
    もう、どうしよう~~~~

    焼けちゃったものは
    今更、嘆いても仕方ない。

    だけど、乙女心としては、
    ため息の一つが出てしまうのは、致し方ないことだろう。

    複雑な乙女心を抱えたまま……

    夕鈴は雪がチラつく道を、恋人への手作りチョコレートの材料を買いに走って行った。

    *****

    大きな社窓から、オレンジ色の西日が差し込む。

    高層80階の眺めは、遮るものが無くて……
    真っ直ぐに廊下に、西日が差し込んでいた。

    重厚な社長室の扉の前で、夕鈴は深呼吸をしていた。

    ……この扉の前では、いつもこう。
    瞳を閉じて夕鈴は緊張を解す。

    この扉の向こうに居るのは、珀会長!
    私の恋人では、無いの。
    失礼の無いよう公私を分けないと……

    気持ちが、ようやく落ち着いた頃、控えめに数回ノックした。
    何気なさを装い、中に居るであろう人物に入室を問う。

    すぐに扉の向こうから、聞き慣れた珀会長の声が聞こえてきて、入室を許可された。

    カチャ…

    重厚な作りのわりに、軽い音を立てて、軋みもせず扉が開いた。
    そのまま夕鈴の姿は、社長室へと消えた。

    あとには、音もなく再び閉まった社長室の扉。
    その扉をオレンジ色に照らしていた太陽は、遥かな山なみに、その姿を隠すところだった。


    *****

    正面の大きなデスクで、次々と仕事をこなす、珀会長。
    タイミングを見計らって夕鈴は、声をかけた。

    「お呼びでしょうか!?
    会長……」

    「ああ……
    今夜の私のスケジュールなんだが…」

    書類から、目を離さないまま…
    会長は、自分の今夜のスケジュールを聞いた。

    夕鈴は、スーツから小さな手帳を取り出すと
    ざっと今夜の予定を確認した。

    「今夜は○○ホテルで、21時からチャリティー・パーティーに
    ご出席の予定です……」

    「キャンセルしてくれ。
    何か理由は、適当でいい……」

    「どうなされたのですか?
    あんなに楽しみにしていましたのに?」

    「すでに会長のパートナーとして
    芸能プロダクションから女優を用意しています!」

    「私は、了承していない。
    君と以外は、私はパーティーには行かない。」

    「今夜の予定の女優には、
    契約金額の二倍を払ってキャンセルしてくれ」

    「でも……
    今夜のパーティーに出席しなかったら、会長の面子が。」

    「面子など、どうでもいい……
    君がパーティーに行くなら、もう一度考え直してやってもいいが……」

    「どうして、そんな意地悪を言うのですか?」

    「私のパートナーは君だけだ!」

    「会長も知っているでしょう?
    今の私には、ドレスが似合いません……」

    「そんなことはない…」

    立ち上がり大きな机を周りこんで、夕鈴を優しく抱きしめた。

    時計の針が、18時を指す。
    会長室を飾る柱時計が、大きく6回時を知らせた。

    会長室の壁一面の窓ガラスの向こう側の空が、淡いラベンダー色に染まっていた。

    1日の終わりの優しい魔法時間。

    就業時刻を過ぎたことを知らせる時計の音が鳴り終わっても……
    会長は、夕鈴を抱きしめて離さなかった。

    「夕鈴、君はどんな時も綺麗で可愛いよ!」

    チョコレート色に焼けた首筋に唇を這わしながら、黎翔は夕鈴に囁く

    「君がドレスを着れないしいうのなら
    私が、君に魔法をかけてあげる」

    もう就業時刻は過ぎて恋人達の時間だった。

    夜は続く。

    シンデレラは誰?


    -完-




    以上、突発チョコレートな夕鈴を首筋から食べちゃえネタでした。
    夕鈴の焦りが分からんな……コレ。
    そもそもチョコレート色まで焼いて大変なのでは…焼きすぎ!
    無茶ぶり設定は、お祭りなんで、お許しください!

    たまには、黎翔さんにご褒美を…… で、黎翔さんのご褒美は夕鈴だよね。
    バレンタインだし、ご本人にチョコレートになってもらって
    溶けてもらおうのネタだったの…←もうすでに無茶ぶり設定
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