花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【中編】sweet,sweet,sweet……2

    「社長、
    少しお話が……」

    突然ノックもせずに、勢いよく入って来た信頼する部下を、
    黎翔はチラ見しただけで、またキーボードを叩いて仕事に戻った。

    「なんだ李順?
    なにか問題でも、あったのか?」

    「はい。
    わが社の使途不明金が見つかりました。」

    堅い表情を浮かべて、李順が差し出した
    書類の束を受け取ると、黎翔は、ザッと目を通した。

    「例のチョコレートのCM」

    「夕鈴さんの使用した特注品。
    チョコレート型ハイヒール代として、1ダース13万円の請求書が送られてきました。」

    書類に添付された請求書を指差して、淡々と内容を告げる。

    「確か撮影で使ったのは、たった二足だけでしたよね。
    1ダースのチョコレートは、現場では見ていません!」

    「製菓会社に問い合わせをしましたら、
    社長に確かに届けましたと言われました。」

    「コレは、いったいどういうことでしょうか!?
    社長、ご説明ください。」

    銀縁の眼鏡をキラリと冷たく輝かせ、有能な秘書は、黎翔に詰め寄った。

    しかし、多額の使途不明金があるというのに、黎翔は動じもせず…
    ポツリと答えた。

    「ああ……アレね。
    自宅で、リハーサルに使った。」

    「……は?」

    その言葉に、耳を疑う。
    女物のハイヒール。しかも、素材はチョコレートだ。
    それを食べたなら、まだ話は分かるが……アレをどう使ったというのか?

    この上なく幸せそうな笑いを浮かべながら……
    固まってしまった李順に、黎翔は畳み掛けるように言葉を継いだ。

    もう、嫌な予感しかない。

    「だからCMの撮影前に、はじめての撮影で緊張している夕鈴を解す為、
    自宅でリハーサルで使ったんだ。」

    クラリ……
    片足、一万円以上する特注品のチョコレートを……惜しげもなく使った…だ…と…

    一瞬、李順の意識が遠のき
    強いめまいを覚えたのは、仕方ないことだと思う。

    踏みとどまって、体勢を立て直したのは、李順の強い精神力のおかげだろう。

    「ーーーーー社長っっ!!」

    その日、いつもは静かなはずの社長室に、李順の怒声とお説教が響いたのは、言うまでも無い。


    ***



    使途不明のチョコレート型のハイヒール
    どのようにリハーサルで使われたのかは、夕鈴と黎翔しか知らない。

    ……続く
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