花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    とりっく ぉぁ とぅりーと? 8

    「李順、次!」

    「はい。
    こちらは、先日の河川の氾濫で流された橋の
    復旧工事の書簡です。
    私も、目は通しましたが、不備は無いと思われます。」

    「わかった。」

    ……
    …………
    ……………………


    ポン…
    ポン。

    「よし!」

    「李順、次!」

    「陛下、どうしたんですか?
    今朝から、バリバリ働かれて……」

    李順は、未決済の次の書簡を
    黎翔に手渡しながら、首を傾げた。

    「今日は、Halloweenだ。
    残業は、しない。」

    その言葉に、ここ数日間
    極寒のブリザードが吹き荒れた政務室を思い出し……
    ここに居ない後宮に居る人物を思い浮かべた。

    李順は、動機が不純すぎる陛下に
    呆れた冷ややかな目で返した。

    ふぅ……。

    思わず口から零れた、ため息ぐらいは、
    ここ数日の李順の苦労を思えば、
    見逃してくれてもいいだろう。

    「陛下が、やる気になることは、とても良いことです。」

    「普段から、これくらい仕事をしていただければ、
    私もやりやすいのですが……」

    夕鈴殿が、居ないだけで……
    決済が滞り溜まっていった書簡の山。

    このペースならば、
    残業はしなくてもいいだろう。

    昨日までの政務室を思えば、
    多少の忙しさなど、どうでもよくなる。
    決済待ちの書類の数は、山のようにあるのだ。

    この際だから、一つ2つ、新しい事案を混ぜておくのも良いかもしれない。

    そんなことを考えていた李順に
    誰に聞かせるというわけでもなく、陛下が呟いた。

    「…やっと……やっとなんだ。
    今夜ようやく、夕鈴に会えるんだ。
    李順、今日は絶対に残業などはせぬぞ!」

    「……はい。
    分かっております。
    ただ、ここ数日で溜まりに溜まった
    決裁待ちの書簡は、決済をお願いいたします。
    でなければ、残業してもらいますからね。」

    「分かっておる。
    李順、次の書簡だ。」

    ものすごい勢いで決済処理が進む。

    これが、毎日続けばいいのに。

    やる気が漲る陛下の隣で、李順は書簡で
    顔を隠しながら、そっと息を吐き出すのだった。



    2014.11.01.改定
    2014.10.30.初稿
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