花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    とりっく  ぉぁ  とぅりーと? 3

    “パキッっ”

    「…………しぃ!」

    小枝を踏んで、小さな音が響いた。
    夕鈴は、誰ともなく小さな声で咎める。

    自分のほかには、誰もいないというのに……

    大きな木の影に隠れる夕鈴は、誰にも見咎められず
    少しずつ陛下に近づいていた。

    そっと、木の影から四阿に居る陛下の様子を伺うと……
    どうやら長椅子で、うたた寝しているらしい。

    「ここまでは、いいのよ。
    ここまでは……」

    そう。
    イタズラすると決めてから、少しずつ詰めてきた距離。
    もう少しというところで、いつも邪魔が入っていた。

    タイミングが悪い。
    ただ単に、今まではそうだったのに。

    今日の夕鈴は違った。

    陛下の他には、誰も居ない四阿。
    イタズラを仕掛けるのに、絶好のチャンスなのに……

    足が踏み出せない。
    こんなチャンスめったに無いというのに。

    …………ぁ

    夕鈴は、ハタと気づいてしまった。

    陛下にイタズラって、何を?
    何をすれば良いの?

    今まで、陛下に驚いてもらおうと思って
    寝台から敷布を持ち出して被って
    隙を伺っていたけれど……

    肝心のイタズラを考えていなかったことに気が付いた。

    この白いおばけの格好で
    「がぉ……」と
    驚かして、あの陛下が驚くと思う?

    う~~~ん。

    夕鈴の眉間に、皺がよった。

    考えれば、考えるほどに……
    成功する気が、しなくなってくる。

    相手は、あの狼陛下なのだ。
    ついには夕鈴の足は、止まってしまった……

    “君のイタズラ楽しみにしているね、夕鈴”

    陛下の楽しそうな笑顔が、浮かんで消えた。

    ふう……

    「今日は、ダメだわ。」

    もう少し作戦を、練る必要があるみたい。
    せめて陛下の弱点が、分かれば……

    陛下を昔から知っていて、知り尽くしている人物。
    白い髭をたくわえた とある人物が、夕鈴の頭に浮かんだ。

    「相談しても、いいのよね!?
    いつでも相談に乗るぞと、普段から言っているし……」

    「今日は、残念だけど……
    出直してこよ……」

    そっと、四阿の陛下の様子を見たけれど
    ……良かった。
    まだ寝ているみたい。

    どうやら気付かれずにすんだかな?

    少し残念な、名残惜しそうな視線を投げかけた後、
    夕鈴は、くるりと振り向き、白い敷布を被ったまま

    ぱたたたた……

    そのまま、後宮立ち入り禁止地区にある
    老師の部屋へと足早に、向かうのだった。

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