花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    とりっく  ぉぁ  とぅりーと? 2


    …たたたたたっ!
    すばやく走り去る白い影。


    楽しげに、きらめく赤い瞳。

    今朝から見かけるソレを、
    隣に居る陛下は、面白そうに見つめていた。

    その光景は……普段の王宮では
    ありえない光景。

    もしかして
    もしかしなくとも、
    あの白いモノは、人間。

    四阿で頬杖をつきながら気怠げに寛ぐ陛下に、
    李順は問わずにはいられなかった。

    この珍事の理由を知って居るだろう人物に。

    「……あの陛下。
    アレはいったい?」

    「アレとは?」

    「あそこの木の影で、隠れているつもりの人物です!」

    「あれは、敷布を被っていますが……
    もしかして、もしかしなくとも、夕鈴殿ですか?」

    「……ああ。
    かわいいだろう?

    今朝から、ずっと私の後をついてきている。」

    ……今朝から?
    妃にあるまじき、あの格好で?

    李順は、軽い目眩を覚えながら、
    ……先ずは、止めさせなければ……と、
    白い物体のもとへ歩きだそうとした。

    ところが、ソレを阻止する鶴の一声。

    「注意せずとも良い!
    コレは、遊びだ!」

    「いったい何をはじめたんですか?」

    「ハロウィンのお祭りだそうだ。
    夕鈴は、私を驚かそうと隙間を伺っている。」

    「何も言うな……李順。
    コレは、余興だ。
    ……それに」

    「それに?」

    「今朝は、ずいぶんと遠巻きだった夕鈴が、
    ようやく近くまで来たんだ。」

    「目に入れても、気がつかないフリをしろ!」

    気がつかないフリをしろと言われても……

    あんな目立つもの。
    気が付かないわけがない。

    はやく終わらせなければ……
    仮にも、陛下の寵妃のする行動では無いのだから……

    でも、当の陛下は、この珍事を面白がっている……

    ズキズキ…と余計な頭痛がしてきた。
    痛む頭を抑えてながら、
    李順は、ささやかな抗議をしてみた。

    「陛下、ここは公務の場です。
    遊びは、後宮でやってくれませんか?
    賓客が見たら、どう思われることか?」

    「……それは大丈夫だ。
    幸い、もてなす賓客は居ない。」

    「それに私が気付いていると、バレてしまうではないか。」

    「李順。
    ハロウィンは、10月31日までだ。
    それまでの間だけだ。
    相手は夕鈴だし、害はない。」

    「このまま……
    夕鈴に気付かせること無く
    好きにさせるように。

    ……分かったな!?」

    たたたたたっ……

    また、もう少し近い木へと移動した白いもの。

    きっと、アレで隠れているつもりなんだろうなぁ……

    「はぁぁぁぁ……」

    そのまぬけな姿を、気重なため息をつきながら、
    李順は

    「分かりました。」

    とだけ告げた。

    今は、目障りでも陛下にしたがうのが得策。
    そう判断したのだ。

    黎翔は、くつくつと笑いをこらえて
    可愛い寵妃の行動を愛おしそうに眺めている。

    一時の余興。
    一時の余興。

    呪文のように…唱える
    李順の言葉は、虚しく胸に木霊する。

    Halloweenが終わるまで、あと10日。

    珍事は、続く。
    李順の苦悩も続く。

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