花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    月晶の雫 17 ※離宮編

    「陛下。
    お待ち申しておりました……」

    立ち上がろうとした夕鈴を黎翔は、手で制した。

    「夕鈴、そのままでよい。
    この庭園は気に入ったか?」

    「はい。
    とても珍しい花や果物で……
    花一輪さえも、王都では見られないものばかりでした。」

    にっこりと、微笑む夕鈴に
    黎翔は、目を細めて微笑むと
    四阿の傍らに咲いていた、薄紅色の大輪の花を手折った。

    「花簪が萎れている。
    私が、この花を挿そう。」

    スッと、萎れた花を抜き取ると、代わりに今手折ったばかりの瑞々しい花を
    夕鈴の髪に挿し入れた。

    「この方が、よい。
    君の愛らしさを引き立てる。」

    「あ・・・ありがとうございます。」

    黎翔は、耳元で囁くと
    真っ赤になって、うつむき加減に、小さくお礼を呟いた。

    傍らの侍女達は、噂以上の仲睦まじさに微笑む。
    とても偽者夫婦とは、思えない陛下の演技力に
    夕鈴は、なんとか恥ずかしさを押さえて微笑むのだった。

    四阿の卓を、黎翔が一瞥すると……

    「……美味しそうだな。
    夕鈴、昼餉 はまだか?
    ここで、私と昼餉にしようか。」

    「分かりました。
    では、今すぐご用意させます。」

    「いや、いい。
    コレでよい。
    見れば、新鮮で美味しそうなものばかり」

    「そのかわり、夕鈴。
    私にお茶をくれないか?」

    「分かりました。
    では、そこでお待ちください。
    只今、ご用意いたします。」






    緑濃い庭園の四阿
    甘酸っぱいオレンジと南国の花々の間を
    煌く青い蝶が、楽しげに舞い遊ぶ。

    ゆったりとした時の中で、
    黎翔と夕鈴は、つかの間の(偽)夫婦の時を過ごすのだった。

    ……続く

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