花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    月晶の雫 12 ※離宮編

    「きゃああ…ングッ……」

    夕鈴の声に驚いた私は、慌てて夕鈴の口を塞いだ。

    「夕鈴、しぃ……静かに!!!」

    私の吐息が、かかる至近距離に
    夕鈴は顔を赤らめて、目を回しているが、かまってなどいられない。
    ここで騒がれては、とても困る。

    岩山をくり抜いた洞穴のようなこの部屋は、
    とても反響し、ましてや悲鳴など……
    ひと騒動になるのは、明白だった。

    「夕鈴、ここは昨日着いた離宮だ。
    僕達は、夫婦なのだから、同じ部屋なんだよ……」

    騒がないと約束してくれるなら、この手を外してあげると言うと、
    夕鈴はこくこくと頷いて、すっかり大人しくなった。

    「いい子だ、夕鈴。」

    流れる金茶の髪に、私は指先を差し入れ
    艶やかな髪の感触を楽しむ。

    旅の間に、近づいたと思った距離は、
    まったく変わらなくて、
    君との距離の切なさに、昨日までの長旅が名残惜しく感じた。

    かいつまんで昨夜の出来事を説明すると、
    夕鈴は申し訳なさそうに、眉をへの字に下げて謝罪した。

    「陛下に、ご迷惑をおかけしたようで……すみませんでした。」

    「どうしても君が、嫌がるのなら別な部屋を用意できるが
    ……出来れば、このままの部屋にしてほしい。」

    「僕達が執り行う神事は、仲睦まじい夫婦が行う。」

    「神事を行う前から別部屋で、不仲ではと疑問をもたれてしまう。
    僕らはこのまま……同じ部屋・寝台で離宮を過ごしたいんだ。」

    「神事では、仲睦まじい国王夫婦が執り行うのですか?」

    「そうだよ。
    僕らは、潔斎をして3日3晩女神の泉に引き籠もる。」

    「僕らだけで、女神に祈りを捧げるんだ。」




    ……続く
    関連記事
    スポンサーサイト

    管理者にだけ表示を許可する