花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【短編】現パラ「憂鬱な日曜日」

    さっきから、静けさの増した部屋の片隅に座り…
    夕鈴は、膝を抱えて
    傍らのスマホに、呟いた。

    「来なくなったな……」

    先ほどまで、鳴り止まなかった着信音は、静けさを取り戻し
    窓の外のどしゃ降りの雨の音だけを、夕鈴の耳は拾っていた。

    「私…
    黎翔さんに、怒ってるんだから……」

    鳴り止んでしまったスマホの不在アラームを見ながら…
    スマホに表示された黎翔さんの名前を、夕鈴は見詰めた。

    きっかけは、些細な喧嘩…
    楽しみにしていた日曜日は、憂鬱な日曜日になってしまった。

    「……怒ってるんだよ…」

    チラチラと見る…静かになったスマホ。
    規則正しいブルーの不在点滅。

    「本気で、怒らせちゃたかな……」

    静かすぎる部屋に響く。
    どしゃ降りの雨は……

    夕鈴の心の内を、現しているようだった。

    ……哀しいな
    こんなハズじゃなかったのに……

    膝を抱えて直して、うずくまる。
    ずっと、この日を楽しみにしていたのに。
    黎翔さんに会えるのを楽しみにしていたのに。

    暗く垂れ込めた心の暗雲は、晴れることなく
    悲しみの雨を降らせるだけ……

    いつの間にか、頬を伝う涙を止められず
    ぼろぼろと涙を零していた。

    “泣きたいときは、泣いたほうがいい。
    そのほうが、こころが晴れるから……”

    思い出すのは、優しい黎翔さんのことばばかり……

    こんなはずじゃなかったのに。
    喧嘩なんてしたくないよ。

    本当は、怒ってなんか無い。
    もうとっくに、許しているの。

    やっぱり……
    あなたに謝ろう。

    このままじゃ……
    嫌だもの。

    立ち上がり慌てて……玄関先に、向うと。














    “ピンポーン”

    不意に鳴った、玄関チャイムの音。
    こんな雨に誰だろう?


    扉を開けると……
    そこには、ずぶぬれの黎翔さんが……

    「夕鈴ごめん。
    こんな時間に、どうしても会って謝りたくて……」

    「君を傷つけた。
    ほんとにゴメン……」

    「ううん。
    わたしこそ、ゴメンナサイ。」

    「来てくれて、うれしい。
    私も謝りたかったから……」

    「それと、何度も電話してくれたのに
    出なくてゴメンナサイ。」

    いつの間にか、降り止んだ雨。
    黎翔さんの前髪から、大粒の雫が光る。

    彼の向こうに、大きな虹の架け橋。
    もう二人は、憂鬱な日曜日ではなかった。

    晴れ晴れとした笑顔で、お互いを見つめた。
    それが、答えだった。


    おしまい







    突発SSS滑り込み。
    なんとか。
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