花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    月晶の雫 10

    「ぶぇ―クションっっ!!!」

    突然の大きなクシャミと共に、
    夕鈴は、両肩を自分で抱きしめた。

    「さむ……」

    ガタガタと小刻みに震えて寒そうだった。

    砂漠の夜は、冷え込む。
    ましてや、床にへたり込んだままの夕鈴は、
    僕より先に身体が冷えたのだろう…

    思ったとおりになってしまった夕鈴に、
    僕は少しため息まじりに、片手を差し出した。

    「身体が、冷えたんだね。
    夕鈴、風邪をひいてしまうよ。
    まだ真夜中だ。
    寝台に戻ろう!」

    僕は、夕鈴の片手を引き寄せて、
    へたり込んだ床から立ち上がらせた。





    僕が触れると、夕鈴は、一瞬ピクリと反応した。
    今度は、素直に立ち上がってくれた。

    そのまま……
    夕鈴を寝台まで、連れて行こうとすると…… 彼女は来なかった。

    「……夕鈴?」

    無言で立ち尽くす君に、僕は声を掛けた。

    「……どうしたの?」










    「あったかい……」



    小さな呟きと共に突然、夕鈴に抱きつかれた。
    自然、夕鈴にタックルされた形になり寝台に倒れこむ。

    「危なっ!
    うわぁ……!!!」






    ゴツン……☆



    大きな音がした!
    僕は、倒れた勢いで寝台のどこかに頭をぶつけた。

    目の前で、星が飛び散ったような強い衝撃!
    涙が滲む。

    ズキズキッ…と打ったところが痛むが、痛がってる場合じゃなかった!









    「ちょっ!

    ゆーりんっ!
    シッカリして!

    …うわぁぁ――……ヤメ!!」

    僕は、彼女に抱きつかれたまま…
    寝台に押し倒された形になった。

    そのまま…柔らかな彼女の身体が、グリグリ…と僕に押し付けられる。
    スリスリ…と、擦りよってくる夕鈴!

    夕鈴の弾力のある柔らかな胸が、僕の……に当たる!

    ヤバい…!!!

    ダメだ!ゆーりん!





    「ゆーりん! ゆーりん!
    正気に戻って!


    コレ以上、ダメッ!」

    過去最大級の焦りと彼女への必死の警告!
    僕の焦った声が、寝台に木霊した。




    ……ところが。




    「…うふふ。


    湯たんぽ。
    ぬっくぬくぅ。


    …スゥ……スゥ……」

    実に、平和でおだやかな夕鈴の寝言。

    (え?………湯たんぽ?)

    規則正しい彼女の寝息が、聞こえた。
    どうやら、夕鈴は眠ってしまったようだ。





    今までものスゴく焦ってた分、奈落に突き落とされたような脱力感。

    (……ゆーりん)

    微笑みを浮かべる君の寝顔が、憎らしい。



    (……もしかして夕鈴にとって、僕は異性としても見られてない? )



    ……つ……疲れた……










    ――――その夜。

    寝直した夕鈴は、黎翔に温められて
    健やかな眠りに落ちた。




    一方、黎翔は穏やかに眠る夕鈴の隣で
    眠れぬ一夜を過ごした。


    「――痛っ!」

    ズキズキと痛む頭と
    腕の中で幸せそうに眠る彼女の言葉に、
    一晩中、眠れぬ夜を過ごしたのだった。


    ……続く。

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