花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    月晶の雫 9

    ……んっ。

    …暑ぅ……。

    真夜中に、夕鈴が身じろぎして僕は目が覚めた…

    「どうしたの?
     夕鈴?」

    「お水、飲みたい……」

    夕鈴は、ガバッと寝台から起きて立ち上がったものの…

    すぐに、へにゃりと床に、座ってしまった。

    「お…水……」

    「夕鈴!?……大丈夫!?
    ……もしかして、まだ酔っている?」

    「水だね!?
     ……ちょっと、待ってて。」

    僕は、慌てて寝台から抜け出して、
    枕もとの水差しから冷たい水を水盃に移して夕鈴に差し出した。

    「夕鈴…水だよ。一人で飲める!?」

    「ん………」

    「ありがろうございます………」

    夕鈴は、とろんとした目で
    僕から水の入った盃を受け取った。

    両手で盃を持ち、子供のように水盃を飲む。

    白い咽喉が、コクリと鳴った。

    「もう一杯いる!?……夕鈴。」

    「ん………もっと。」

    「ちょっと、待っててね。」

    二杯目の水を夕鈴に差し出そうとした時、僕はギョッとした。

    「なっ……夕鈴!!
     ちょっと、待った。」

    振り向いた夕鈴が、夜着を脱ごうとしていた。
    白い両肩が露になり、豊かな双丘も零れ落ちそうだった。
    僕は、慌てて駆け寄り、夕鈴の夜着を引き上げ両肩を隠した。


    「なにしてんの?」

    邪魔をされた夕鈴は、むうっと口を尖らせた。


    「……暑いから、脱ぐの!!
     ……陛下、傍に寄らないで下さい。
     暑いです!!」

    「……ゆーりん。」

    可愛い君は、酷いことを言う。
    酔っ払っていると分かっていても、僕の心はグサリと傷ついた。

    「……ふぅ。
     暑い。」

    そう言って今度は、腰紐に手をかけた。
    ホントに酔った君は、性質が悪い。
    何処まで、脱ぐつもりなのか。

    「……それも、ダメ。
     風邪引くよ!!」

    僕は、夕鈴の腰紐を結びなおしてあげた。

    「ゆーりん。
     すごく酔ってるね。」

    「酔ってないもん。
     ……陛下の意地悪。」

    「酔ってるよ。
     さぁ……夕鈴、いい子だから、大人しく寝ようね。」

    「酔ってなんかないですっ………………。」

    「…………陛下。」

    「……ん?何、夕鈴?」

    じとぉーーーと、無言で見つめてくる夕鈴。
    なんだか嫌な予感がする。

    「………………。」

    「……夕鈴?」

    「ふぅーーーーーん。陛下、なんだか手なれてますよね。」

    「……………………(なにが)?」










    「ふぅん……そーーか。そういうことか。」

    「陛下は、こういうことに慣れているんですね。」





    「陛下のすけべ。」

    ぽそっと呟いた一言を黎翔は聞き逃さなかった。

    「……は?
    夕鈴、それは何か誤解している!」

    慌てて訂正しようとしたら、夕鈴の両手で口を塞がれてしまった。

    「言い訳は、結構です。
    何もかも、わかっていますから。
    何も言わなくていいです。」

    「私、分かってますから。」

    君に誤解されたまま、僕は眠れるわけが無い。
    僕は、華奢な手首を掴み取り

    「誤解だ!」

    と訂正しても酔った夕鈴は、ツーーンとして、ぜんぜん聞き入れてはくれなかった。
    真夜中の国王夫妻の騒ぎは、寝静まった離宮の誰一人気付かなかった。


    ……続く



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