花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    紫雨―しう― 4.   よゆままcolor

    「どうして・・・夕鈴は泣いてるの?」
    「どうしてでしょうね。私にもわかりません。」

    分からないはずはない。
    自分自身の気持ち。
    封をしても、いつの間にか溢れてくる。
    そして勝手に私の心を蠢く。

    「へ・・・いか、私・・・・後宮を辞することになりました。
    色々と有難うございました。」
    「えっ??どうしてっっ??」
    「李順さんから『借金が完済された』と告げられて・・・私、自由の身となったんです。」

    涙声にならないように、努めて明るい声音で黎翔に告げる。

    「そういえば・・・今日、李順が云っていたような。」
    「はいっっ、本当にお世話になりました!!!」

    夕鈴はスクリと立ち上がって、深々と頭を下げる。
    その際に地面に零れ落ちた一滴を、黎翔は見逃しはしなかった。

    「夕鈴!!!誰が辞してよいと云った??私は何も命じてはいないのだが。」
    「いや・・・でも。」
    「李順がどう云おうと、この国の王は私だ。その私が許可してもいないのに、どうして君は私の元から去れると云うんだ!!!」

    目の前の深紅の瞳が、力を帯びて輝く。
    誰も『否』と言わせないほどの眼力。


    これこそ、陛下が『狼陛下』たる所以なのね・・・・。


    夕鈴はぼんやりとそんなことを考えていた。


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