花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    紫雨―しう― 1.   さくらぱんcolor

    爽やかな風が
    池を渡る……風薫る5月。

    いつもと変わらない日常を過ごしていた夕鈴は、
    ある日、李順さんに王宮の大きな池にある四阿に呼び出された。

    「お茶をお淹れました…李順さん、どうぞ」

    「ありがとうございます。」

    大きな池には、季節の花々。
    紫菖蒲が、凜として天に向かい涼やかに咲いている。
    丸い蓮の葉の重なりに、淡い色のかわいらしい
    薄紅色した蓮の花が水面に咲いていた。

    季節は、初夏の彩り…
    対岸の藤の花が、甘い香りを放ち…
    ゆっくりと流れる季節を教えてくれていた。

    「それでお話というのは、どういった用件でしょうか?」

    まさか、花を愛でる為に呼び出したのではないだろう。

    なかなか話をしてくれない上司に、
    しびれを切らして、夕鈴が問いかける。

    緊張感のあまり、ごくりと喉がなった。

    「まあ立ち話もなんですから、夕鈴殿もお座り下さい。」

    夕鈴が、李順に相対するように、座るのを見届けると、
    李順さんは、ゆっくりと話し始めた。

    「おめでとうございます!
    夕鈴殿の借金が、完済しました!
    晴れてあなたは、自由の身ですよ。」

    「本当ですか?」

    あまりに突然のことで身を乗り出して夕鈴は、
    李順さんに詰め寄った。

    「貴女に嘘を言ってどうするのです!
    ……来月の給料日に、全ての借金が完済されます。」

    「それで……
    夕鈴殿は、これから、どうなさいますか?」

    漠然とした質問に、夕鈴は初め
    何を質問されたのか、分からなかった。


    …続く

    2014-05-02 初稿
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