花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【原作設定】砂上の楼閣  ss砂上・さくらぱん挿絵

    砂上さんのSNS5000hitをさくらぱんが踏みました。

    砂上さん
    無茶ぶり叶えてくれてありがとうございます。

    「砂上の楼蘭」から、ハンネをとりましたと聞いて、イラストが浮かびました。
    幸い、コミュで私の拙い絵にも免疫が ありましたから、そのまま“コラボ”を依頼しました。
    恋人設定、お任せだったような…

    砂塵を感じます。
    素敵なお話ありがとうございました。




    ・二次
    ・黎夕
    ・恋人(夫婦?)設定




    お忍び、ではなくちゃんとした公務でやって来たのは西の砂楼。

    「すごい!高いです!」
    「夕鈴、あまり身を乗り出すものではない。落ちたらどうする」
    「申し訳ありません…」

    はじめて見る楼閣に驚き、馬上から身を乗り出していたのをやんわりと引き戻すのは、相乗りしている陛下。

    密着具合とか、頭上にかかる息とか、いっぱいいっぱいになりながら、仲睦まじくを意識して頑張って耐えてたのだけど、抱き直すために腰に巻かれた腕に熱くなる。

    「陛下!あの楼閣は何のために?」

    お妃勉強で習った内容では、楼閣は基本城壁の近くか、地盤のしっかりした地域に、記念として作られると聞いた。
    でも、ここは砂漠。
    地盤なんてあって無いようなもので。

    「砂漠を見渡す為、かな」
    「?」

    権威を示す為でもあるが、砂漠を遠くまで見渡し敵を見張る役割もある。

    そう仰る、陛下の言葉に分かったような分からないような。と首を傾げていれば、頭上でクスリと笑い声がした。

    「夕鈴には難しかったね」
    「ぅ、ごめんなさい…」

    大丈夫、と撫でてくれる手を大人しく受け入れ、近づく砂楼を眺めた。


    『貴女方が砂楼のようにならねば良いですな』


    この楼閣に来る前に、老官の一人に言われた言葉が、甦った。

    最初は意味がわからなかった。
    砂楼のように?砂まみれってこと?と、検討違いの事を考えていた。

    でも、道中の李順さんによるお妃勉強で、その意味が理解できた。

    「夕鈴?」
    「いえ、ただ美しさに圧倒されて」

    いぶかしむように見つめてくる陛下に笑って、誤魔化した。









    陛下は報告会があるとかで、下の階層にいる。
    高所から見る砂漠は本当に広くて、この楼閣もちっぽけに思えた。

    『長く持たない、崩れやすい、だから砂漠に楼閣は建てないのですよ』

    李順さんの説明が、頭を巡る。

    みんなそう思っているのかしら。…でも、そうよね。私は庶民。紅珠のように貴族の心得も、負担も何も知らないのだから、陛下を本当に支えられているのか?と問われたら、私は何も言えない。

    陛下は私に仕事の話を愚痴を何一つ言わないから、聞いても笑って誤魔化されるから。

    私だって、陛下の安らぎになりたいのに。

    「…永く続かない、か」

    飽きられたら、この関係も終わりなのよね。

    「何を憂いているんだ?」
    「え?!陛下!」

    急な浮遊感に慌てて背後を見れば陛下がいて、あっという間に膝に乗せられた。
    見上げると顔の位置が近くて、陛下の肩に頭を置いて、視線を反らす。

    DSCN1701-15.jpg

    「もうお話は終わったんですか?」
    「ああ。で、我が妃は何を憂い溜め息を?」
    「あ、いえ、埃っぽいから掃除したいなぁ~、と…」
    「本当に?」

    優しく、でも言うことを強制する声に肩が震えた。

    言ったって、今の陛下は一蹴する。気にするな、そう言って優しく頭を撫でてくれるのが目に浮かぶ、でも、そうじゃない。私が求めてるのは、言葉でも、そういう優しいものじゃない。

    「ええ、でもこの格好じゃできないから」


     DSCN1698-15.jpg 
     

    「夕鈴」

    寂しそうな声におずおずと視線を上げれば、声と同様に寂しそうに見つめる陛下に、胸が痛んだ。

    「誰に何を言われた?」
    「…何も」
    「嘘だ。君がそうやって落ち込んでいるときは、大概誰かに何かを言われた時だ」
    「……」

    頬に添えられた手が顔を伏せる事を許さない。

    陛下はズルい。そんな風に見つめられたら、嘘なんて付けなくなる。

    視線だけで、熱くなる頬を、潤む視界を、隠したい。

    「…ここに来る前に、老官に言われたんです」
    「何を?」
    「…砂楼のようにならなければいい、って」
    「なるわけがない」

    ほら、そうやって一蹴するから。

    気にするな、と、額に落とされた口付けにちょっと違う、と思いながらも想像通りの反応に落胆する。

    「そう、でしょうか?」
    「…夕鈴?」
    「私は、貴方を支えられている気がしません」
    「そんなこと―」
    「あります」

    あるの。
    だって、陛下は私を頼ってはくれない。政治に口を出す気なんてないけど、でも悩み苦しむ貴方を、私は理解したい。

    「それに…」
    「それに?」

    私は庶民だから、やっぱり貴方に他のお嫁さんが出来るのが嫌なんです。

    今はいなくても、いつか出来るかもしれない。そう思うと、眠れないほど不安になるの。

    「今は、私だけでも、未来はわからないもの…」

    そうなったら、きっとこの砂楼のように埋もれていくのよ。
    綺麗な人がいっぱいいたら、私なんて目に付かないをんだから。

    「夕鈴。ごめん、不安にさせてたんだね」
    「え。陛下は謝らないで下さい!私が我が儘なだけなんですから!」
    「そうかな?…私が逆の立場ならきっと嫉妬に狂っている」
    「陛下?」

    さっきの視線とは違う、獰猛な狼の瞳にゾクリとする。

    「君に触れて、愛を囁けるのは、私だけいいから」
    「ん…」

    優しくない、食らうような口付けに陛下の上衣にしがみつく。

    こんな風に愛されていたい。
    私だけを見ていて欲しい。

    そんな思いが溢れる。

    「…泣かないで、夕鈴」
    「ごめん、なさい…」

    目尻に落とされる口付けは優しくて、愛されている、実感しているのに満たされない。

    「好きです、愛しています、黎翔様」
    「私も、愛している」

    真摯な声が、瞳が、飢え、渇れた心を潤す。

    「不安になれば問えばいい。何度だって、君が嫌になるほど、応えよう。私は、君を愛している」
    「はい…はい、ありがとうございます、黎翔様…」

    黎翔様の首に手を回して抱きしめる。

    「砂楼も、こうして確認して手入れをすれば持つのだ。なら、私達も同じようにすれば、永久に続くさ」
    「…黎翔様」
    「君への愛が埋もれることなど有り得ないのだから」

    ぎゅっと抱きしめてくれる腕に、温もりに、愛しさが溢れた。


    「私だって、埋もれたりしません。あなたを、愛し続けます」


    自ら黎翔様の唇に合わせ、微笑んだ。


    語り合った愛言葉は――永久に。



    20140518
     

    SS☆砂上
    挿絵☆さくらぱん


    もう一つのイメージフォト


    趣味の玉手箱パート1様
    mog*m*13 様

    鳴沙山と月牙泉
    から、砂上の楼閣のイメージをお借りしました。
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