花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【短編】「抱擁」

    花盛りの
    春の四阿。

    備え付けの長椅子に寝そべり、
    風の歌に、耳を傾ける。

    風の音。
    木々の声
    眩しく光る
    池のさざ波

    ……そして
    ぱたぱたと、駆け寄る
    私の…
    愛しい人の足音。

    元気で、可愛いお嫁さんの気配に……

    少し思案して、寝たふりを決め込んだ。

    私の予想が外れなければ、
    きっと君は私の近くに来るだろう……

    予想通り…夕鈴は、先客に気付いて、近付いてきた!

    優しい花の香り…
    身体に、触れた何か柔らかな衣の気配。

    パチリと瞳を開けて、夕鈴を捕まえた!

    最初に見えたのは、心底驚いたような大きなまん丸のハシバミ色の瞳。

    「陛下、離してくださいっ!
    起きているなら、起きているとそう言って下さい!」

    顔を真っ赤にして、抗議する可愛い私のお嫁さん。

    その手には、柔らかなショール。

    バタバタと、手足を振り回して逃げようとする夕鈴を、ぎゅう…と強く抱き締めた。

    柔らかな身体の感触と髪の香りを楽しむ。

    「離さない…」

    「意地悪しないで下さい!」

    「離して―」

    君が居るから…楽しい。

    “好きだよ、夕鈴”

    色の無い日常が、生き生きと原色になる。

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