花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【短編】IF「良い夫婦に、なろうよ」

    本日、良い夫婦の日
    ちょい、こじつけ強引です。













    夕鈴と僕と
    二人しか居ない、静かな室内。

    王様だから………とか、

    お妃様だから………とか、

    そんな堅苦しいものは脱ぎ捨てて
    多少行儀の悪さなんて、ここならば許される。
    今はお互いしか、居ないから…

    日溜まりの床に座り
    裾が汚れるのも構わずに……
    お互いの背に寄りかかって、春の日差しを楽しんだ。

    ……決まりきった生活・がんじがらめの宮中も、
    君がいれば、自由になれる。
    深呼吸できる。

    君は、いつも僕の予想をはるかに越えて
    壁も垣根も壊してくれた。

    気持ちも身体も、楽になれる。
    君だけが、僕に自由をくれる。

     



    背中をくっつけて座ってさ、
    夕鈴の鼓動を肌で感じながら……

    暖かな日差しは、
    本当はぜんぶ彼女から、もたらされるものなのじゃないのか…
    なんて馬鹿な事を考えてみたりして……

    さっきから、僕は手元の本なんか読んでないし、
    君のぬくもりばかり気にしてる。
    ただ単に、君とのこの時間が好きだから……。


    黙ってるのに心が通じあってる感じ。
    君は、違う事してるのに一体感、
    一緒な感じ。

    ほわほわ…と、日差しが降ってくる。
    光の輪が次々と、
    七色の光のプリズムを作り、降り注ぐ…

    何もしてないのに、幸せってやつ。
    ……幸せって、こういうのを言うのかな?

    ふと思う。

    お妃さまでない
    …僕だけの君に戻る時間。

    王様が、お休みな時間。
    君が僕を、一人締めに出来る時間。

    こんな時間を、君ともっと過ごせたらいいのに……
    僕が王でなければ、君とこんな時間をたっぷりすごせたのかな?

    いいや・・・

    僕が王様だったから、君と出会えたんだ……


    君と出会わない僕なんて考えられない。
    君を知らない僕に、もどれない。

    頭を振って、悪い考えを追い払う。

    君と出会わなかった頃の
    あの日の僕に伝えたい。

    誰かを愛せることは素晴らしいってさ。
    信じられるってことは、果てしなく強くなれる!



    「……夕鈴。」

    背中の君に、意味もなく声をかけてみる。

    「なんですか?
    黎翔さま……」

    小さな靴下を編む手を休めて、
    君が背中で返事してくれた。
     出会った頃と変わらない優しい声。

    一つだけ、変わったもの。
    二人の時だけは、名前を呼んでくれる。

    「夕鈴。」

    もう一度、愛おしい名を呼んでみる。
    もう一度、僕の名を呼んで欲しくて……


    バカだなぁ……黎翔。
    こんなにも近くに、幸せは待ってたのに。

    幸せな二人の時間。
    もうすぐ、それが三人になる。
    黎翔は、ポツリと呟いた。

    「良い夫婦に、なろうよ」

    振り向かなくても分かる。
    背中で感じた、君の声。

    「はい!
    良い家族になりましょう!」

    日溜まりの暖かさと眩しさが、強くなった気がした。
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