花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【宝物殿】短編「ありがとう」

    とんとんさんからの頂き物です。
    気に入ったので、お願いして転載の許可頂きました。
    お嫁にもらいました。




    【とんとんさんの日記】

    先日、拙宅の足跡ふみふみが無事88888歩の末広キリ番を迎えました

    ありがとうございます
    ((嬉゚∀゚))σ゚+o。感謝。o+゚(゚∀゚喜))ノ

    まあ、私の不手際で、キリ番様がわからない、というオチつきではございましたが。

    感謝の思いをこめまして☆



    【原作設定 本物夫婦】



    「・・・・なんだつまらんな。せっかく愛らしい兎が来たものを」

    そう言って細められた瞳に見据えられて、ぞくりと背中に走ったのは悪寒だったと思う。

    あの時には想像すらできなかった。

    この後、この目の前の人が、どうしようもなく愛しくて大事な人になるなんて。



    *****


    「・・・鈴・・・夕鈴?」

    囁くように名前を呼ばれて、ゆっくりと意識が浮上した。そっと慈しむように頭を撫でられているのを感じる。
    瞼を開ければ、柔らかな光の中に溶けこむようにして微笑む顔が視界に入った。その顔が、記憶の中との顔と少し違うことを理解して、今の自分の状況を思い出す。

    「・・・陛下・・・」

    寝起きのせいで掠れてしまってた小さな声でそう呼びかけると、その顔がほんの少し驚いた顔になる。それでもすぐまた元の笑顔に戻った。

    「・・・もう、僕は『陛下』じゃないよ?国王は息子に譲ったんだから」
    「・・そう、でしたね」
    「今日は気分がいいみたいだね」
    「・・・はい」

    引き続き撫でられる手が心地よくて、寝台の中の夕鈴はそのまま再び目を閉じた。

    「・・・夢を」
    「ん?」
    「夢を見ました・・・最初に、陛下に会った時の夢です」

    その言葉に、頭を撫でる手が止まる。
    夕鈴は目を閉じたまま、ふふっと笑いだした。


    「・・・初めてあった陛下は・・怖くて・・本当にただ怖くて・・・。私すぐさまお妃バイトを辞めるつもりだったんですよ?」
    「・・・そうなの?」
    「はい・・・でも、辞めますって李順さんに言おうと戻った時に・・・子犬の陛下を知ってしまって・・・辞めるに辞められなくなってしまったんです」
    「じゃあ、あの時ばれてよかったんだね・・・でなきゃ、夕鈴とこうしていられなかった」

    頭から離れた手が、寝具の上に置かれた手をそれほど強くない力で握りしめる。

    「僕もちゃんと、覚えているよ。あの日のことは・・・夕鈴、ちょっと震えて涙目で・・・本当に兎みたいで可愛かった」

    相変わらず真っすぐな目でそんな事を告げる黎翔に、目をあけた夕鈴は少しだけ怒ったような表情になる。

    「陛下はいつも、私の事を『可愛い』っておっしゃってくれますけど・・・女は『可愛い』と言われるより『美しい』って言われた方が嬉しい生き物なんですよ?」

    その言葉に、黎翔が一瞬驚いた顔になった。

    「そうなの?」
    「そうです。そういうものなんです」
    「・・・でも、夕鈴は可愛いからなあ」
    「・・・・もう、こんなしわくちゃのおばあちゃんですよ?」
    「それをいうなら、僕だってよぼよぼのおじいちゃんだよ?」

    少しだけ手を広げて自分の体をしめしてから、黎翔はそっと夕鈴の、皺のある頬へと手を添えた。

    「僕にとって、夕鈴はずっとずっと可愛い、たった一人のお嫁さんだよ?」
    途端に夕鈴の頬が赤くなった。その変わらぬ初々しい反応に黎翔の笑みはさらに深くなる。

    「・・・夕鈴」
    「・・・はい?」
    「―――――僕のお嫁さんになってくれて・・僕と一緒にいてくれて、ありがとう」
    「・・陛下」
    「だから・・・だから、私を置いて行かないでくれ」

    『狼陛下』の口調で、まるで縋るようにそう告げられて、ゆっくりと夕鈴は笑顔をむけた。

    「・・・私の方こそ・・・陛下が私を選んでくれて・・・ずっとずっと幸せでした。ありがとうございます」
    「・・・夕鈴」
    「だから・・・一緒にいます。例え、この身ががなくなっても側にいますから・・・ね?」


    そう言って笑う夕鈴の体を、黎翔がまるで壊れ物を扱うかのように優しく抱きしめた。
    あの頃よりは、すこし小さくなったその胸に頬をよせて夕鈴は口元に笑みを浮かべながら、ゆっくりと目を閉じた。
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