花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【短編】IF本誌添い「鶯―うぐいす―」

    昨日、ぎりぎりでパラレルに落とし逃げしたものの手直しです。

    ○本誌沿い
    ○夫婦演技し始めたばかり
    ○四月一日設定。





    後宮の春は、ようやく訪れた季節を喜ぶように、
    新しい妃を喜び受け入れた。





    花盛りの四阿。

    香り高い梅の香りが当たり一面に広がる梅林の四阿で、夕鈴は陛下と一緒に午後のひと時をたのしんでいた。

    「へ…いか、お茶のオカワリは、イカがですか?」

    「いや、まだ飲みきっていないから、いい…
    それよりも、そんな隅に居ないで、私と一緒にお茶を楽しもう」

    「恐れ多くてできません。」

    「……そう?」

    すっ…と指先を夕鈴の頬に触れると、にっこりと陛下が微笑んだ。

    「ん――♪
    まだ、ちょっとぎこつないかな~?」

    「……初々しい花嫁って感じもしないでもないけど。」

    「へいかっ……近すぎますっ!!!」

    真っ赤になった夕鈴は、陛下の手を振り払うこともできず・・・
    真っ赤な顔で、困惑のまなざしを向けた。

    まだ、偽者夫婦となってから日が浅く、二人は先日出会ったばかりである。

    恥ずかしがる夕鈴が、ようやく陛下の腕から逃げ出して、
    更に奥まった四阿の隅に逃げ出したのは、仕方がないことで・・・・

    「へーか・・・からかっていませんか?」

    ドキドキと収まらない胸を押さえて夕鈴は、抗議の声を上げた。

    昨夜から、可愛らしい生き生きとした反応を見せる娘に
    興味を持った、黎翔。
    お嫁さんが新鮮で、ついもっと生き生きとした表情が見たいと願ってしまった。

    「君を、からかってなどいないよ。」

    にこにこと、警戒されないように人懐っこい小犬の表情で可愛らしいお嫁さんに微笑んだ。

    ーーその時。

    ケキョ…


    後宮の梅林に鶯が鳴く……

    「へーか、聞きましたか?
    うぐいすですよ!」

    「今年初めての鳴き声ですよ!」

    「春ですね!」

    梅林の片隅の四阿。
    美しく咲く紅白の梅林の中を
    夕鈴は、ウグイスを見つけようと、四阿の手すりに身を乗り出すように
    探した。

    仮初めとはいえ、夫婦。
    そのしぐさに黎翔は、微笑みを隠せない。
    洗練されたしぐさではないが、どこか惹かれるものを彼女は持っていた。

    ーーー素直な感情、というべきか。
    嘘のつけない尊い資質。


    初めて出会ってまだ数日、“お妃さま”と侍女に呼ばれることに慣れず…ましてや国王陛下を“陛下”と呼ぶことにも慣れず…
    それでも、一生懸命努力してくれる様は、好感が持てる。

    “夕鈴で良かった。”

    一緒に居て、癒されるという感覚など、
    黎翔は、今まで一度たりとも感じたことがなかった。



    *****


    「そうだね。
    今年初めてのうぐいすだね。」

    「鳴き声が、若いな…。
    きっと初めて鳴いたんだね!」

    「鳴き声で、そんなことまで分かるんですか!?」

    びっくりした夕鈴は、大きな目を更に大きくして、陛下を見た。

    「うん、鳴き声が下手だったからね!」






    「知ってた?夕鈴。」

    「鶯には、学校があるんだよ!
    鳴き声の上手な雄が先生なんだ。」

    「上手な鳥の真似をして、
    上手い鳴き方を覚えるんだね。」

    「この鳥は、練習中なんだ。」

    「鳥に学校なんてあるんですか
    ヘーカは、物知りなんですね!」

    「……夕鈴も、ウグイスみたいに少し練習が必要かな?」

    「ぎこちないよね…」

    「……鳴き声ですか?
    私、うぐいすの真似なんてできませんよ…」

    怪訝な顔で、陛下の顔を見ると、違うよと言われて手招きされた。



    手招きした陛下は、さっと夕鈴を膝抱きすると、話し始めた。

    「諸外国の国王夫妻は、名前で呼び合うんだ。」

    「私は君のことを名前で呼ぶが…」

    「夕鈴は、私を名前で読んでくれないよね…」

     「ぎこちないよね…」

    「練習が必要だとおもうんだけど…」

    「へーかで、ダメなんですか?」

     「夫婦演技に必要でしょ?
    それっぽく、見えない。」

    「それに…コレって…」

    国王陛下に膝抱きされるバイトって居るのかしら…
    恥ずかしくて、夕鈴は、黎翔の言葉を半分しか聞けない…

    「これは、夫婦演技の練習。
    仲の良い夫婦を演じるのだから」




    「ねぇ…夕鈴。
    黎翔って言ってみて?」

    「そんなへいかに、恐れ多い……」

    「これから必要になるよ、慣れてもらわなければ・・・・
    れ・い・しょ・う」

    「う~~……
    れ い し ょ う さ ま」

    「うん、まだぎこちないかな?
    もう、一回。」

    「……れいしょうさま。」

    「まだまだ……」

    「黎翔さま。」

    「うん、
    もう、一回。」

    「黎翔さま。」


    ……。

    ……。

    endless。



    四月一日は、特別な日。

    国王夫妻が、必ずしも名前で呼び合うのかどうかは、誰も知らない。
    ウグイスの学校・・・あるのかは、内緒。
    とある四月一日の梅林での出来事。



    このあと、李順さんが来て陛下でいいです。と言われるまで
    陛下ニコニコで、続けて欲しい。
    その間、夕鈴真っ赤でお膝抱っこ←拷問。


    お粗末様でした。

    さくらぱん
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