花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【短編】「太陽の移り香」

    暖かな日差しが、差し込む
    のどかな窓辺で……

    彼女が本を片手に、
    うたた寝をしていた。

    「風邪をひくよ?」

    私の呼びかけにも答えず……

    ……ん。

    ただ……睫を震わせた。

    「……おっと!」

    広げられた本が、
    彼女の手元から滑り落ちる。
    私は慌てて受け止めて、
    近くの卓に置いた。

    陽の光に透ける金茶の髪が、
    蜂蜜色に輝く。

    暖かな陽射しが差し込む窓辺。
    優しいそよ風が、
    彼女の前髪を揺らした。

    「このままだと風邪をひくよ?」

    独り言めいた言い訳をして、
    私は彼女に近付いた。

    君の髪から薫る
    ひだまりの香り

    あたたかで優しい
    太陽の香り

    そっと……起こさないように、
    彼女を抱えあげる。

    大切な君を抱きしめて、
    髪の移り香を嗅ぐ。

    私の心まで和ませる
    太陽の匂い。

    穏やかで暖かな
    早春の昼下がり

    いつまでも、
    君と過ごしていたい

    ひだまりの移り香のする君と……
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