花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【中編】「Saint Valentine's Day 2」


    昨年のクリスマス。
    社内パーティーの後、黎翔に口説かれた夕鈴。
    密かに憧れていた彼と両思いになれた。

    今年は、初めて迎える特別なバレンタイン。
    だけど平日で恋人としての時間は、アフター5から。

    仕事とプライベートをきっちり分ける彼を
    とても尊敬している。

    仕事にとても厳しい会長としての精悍な顔。
    二人っきりの場の優しい恋人としての甘い顔。

    そのどれもが珀黎翔としての顔だから。

    切り替えが激しくて、時々戸惑うけれど。
    そのギャップも彼の魅力の一つ。

    初めて渡す恋人としてのバレンタインプレゼント。
    やっぱり特別にしたいから。

    「喜んでくれるかしら?」

    夕鈴は珈琲を、
    黎翔に差し出すと、その隣に小さな包みを添えた。

    「コレは?」

    「珈琲の口直しです。
    お口に合うか分かりませんけれど…」

    「開けていい?」

    「……どうぞ。」

    黎翔は、艶やかな金茶のリボンをゆっくりと解いた
    小さな包みの中は、小さな赤い小箱。

    中には、12粒のトリュフチョコレート。

    淹れたての珈琲の香りに甘いチョコレートの香りが広がった。

    「私の手作りです。
    以前、市販のチョコレートは甘すぎると
    言ってたのを思い出したので。」

    「少し不恰好ですけどね。
    濃い目の珈琲には、合うのかなと……」

    「ありがとう!夕鈴。
    嬉しいよ!!!」

    「早速、味見していい?」

    「はい。どうぞ。」

    「夕鈴が、僕に食べさせてくれる?」

    「ええっ!!
    私がですか!?」

    「ダメ!?
    夕鈴。君は僕の恋人なんだから、お願い……」

    うっ……

    うるるっとした、小犬のような視線を向けられて、夕鈴は、たじろいだ。

    ……逆らえない。

    分かっていてやっているんだろうなぁ。

    分かっていても、この瞳には、……逆らえない。

    渡したばかりの箱の中から、一粒選んで摘み、黎翔の口に入れようとした。

    ところが……

    「夕鈴、食べさせ方が違う。」

    「えっ?……あっ。」

    そう言って、黎翔は、夕鈴の手からチョコレートを取り上げると彼女の口へと放り込んだ。

    突然口に入ったチョコレートに、夕鈴が目を白黒させて驚いていると、
    黎翔に身体ごと引き寄せられて唇を奪われた。

    夕鈴の舌先から直に味わうチョコレート。

    舌の上で甘く絡み合い、みるみると溶けて消えた。

    「甘くて美味しいね。
    夕鈴、ありがとう。
    残りは、後で頂くね。」

    荒く甘い息を吐く夕鈴に
    冷静な会長としての黎翔の声が囁く

    「業務連絡だ。夕鈴。
    “今日は、大雪の為、定時で退社するように。”
    各部署に、通達するように。

    折りしも今日はバレンタイン。
    残業は無しで、全社員。
    恋人・家族サービスに努めるように。」

    「……はい、会ちょ…う……」

    「君だけは特別だ、夕鈴。
    あとチョコレートは、11粒。
    全部僕に食べさせないと、君は帰れない。」

    「今夜は帰すつもりはないから……」

    恋人の熱い視線。
    黎翔に至近距離で、下から見詰められて、
    夕鈴はどうしていいのか分からない。

    真っ赤な顔で、燃えるような情熱的な赤い瞳に
    魅入られたように縛られた。

    意地悪な恋人は、彼女に囁く。

    「夕鈴、そんな蕩けた顔じゃ……会議に連れて行けないな。
    ここで留守番するか?」

    そんな彼女に、甘いKISS。






    アフター5は恋人達の時間。
    夜の秘密は、プライベートな会長室の扉の奥に……。




    -Saint Valentine's Day・完―



    現代パラレル『……甘い辞令』
    の雰囲気で書きました。

    そういやカリブ海の続きがまだだったっけ。
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