花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    美味なるもの 2

    私は、至近距離で
    国王陛下の膝の上でお粥を冷ます。

    まじまじと冷ます様子を陛下に見つめられて……
    時折、優しく頬笑まれて
    私の顔が熱くなった。

    なるべく意識しないようにと、
    ひとさじの粥を冷ますことに専念するも
    陛下の温もりが、集中を妨げる。

    私は、どうしても
    陛下を意識してしまう。

    ……困った。

    ふぅふぅ……と
    何度か息を吹きかけて、
    なんとかひと匙分を冷ますことができた。

    「陛下、冷めましたよ。」

    「食べさせて、夕鈴。
    あーーーん。」

    陛下の開いた口に、震える手でお粥を運ぶ。

    お粥が、陛下の衣に落ちたら大変!!

    私は、細心の注意を払いながら・・・
    最初の一口を陛下の口に運んだ。

    「美味い!!
    ほんのり塩味で、優しい味だね、夕鈴。
    もっと、食べたいな。」

    そう言ってニコニコと嬉しそうに笑う陛下は、
    まるでツバメの雛鳥のように
    大きく口を開けた。

    私はそのたびに、
    お粥を冷まして、陛下の口に運ぶのだった。

    繰り返される
    不可思議で甘い時間。

    市井の普通の娘の私が、
    国王陛下の口にお粥を食べさせるだなんて
    信じられない。

    もう少し、普通は警戒するのではないの?

    懐いたような小犬陛下の様子が微笑ましい。

    陛下に信用されていることが、
    私は、誇らしくもあり嬉しかった。

    無邪気に、あーんと口を開けて、
    次の粥をねだる陛下が、愛しくなる。

    だんだん私は、親鳥になったような気分がしてきて
    可笑しくなった。

    なんだか陛下が、とっても可愛い……

    だけど本人の目の前だから、笑うに笑えない。

    私は見つからないように、
    そっと頬の内側を噛むんで笑いをかみ殺した。

    ……続く



    2014.01.09. 初稿・分館からの転載
    2014.01.16. 改訂
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