花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    高月慧ネンさんからの誕プレ【Creuzシリーズ】

    SNSで、ご交流いただいています。
    高月慧ネンさんから頂いた誕生日プレゼント!!!

    【Creuzシリーズ】
    甘い二人をありがとうございます。                 2013.12.24.さくらぱん




    【黎翔×夕鈴】【Creuzシリーズ】【ラストちょこっと大人表現?】

    冬の夕暮れは早い。
    授業を終え学校を出た夕鈴は、バイトに行くため、すでに暗くなり始めている道を駅に向かう。
    電車に揺られ最寄駅に着くと、学生やサラリーマン、OLで溢れ返っている改札を抜ける。

    駅を出て歩き始めた彼女が足を止めたのは、知っている声が耳に届いたからだった。
    目の前の駅ビルに設置されている、大型のテレビ。
    ちょうど流れていたのは、王手菓子メーカーの新商品のCMだ。

    とても端正な顔立ちの俳優が、商品の箱を片手に持ち、画面の前(つまりは視聴者)に向かって囁き掛ける。

    『寒い冬』

    『溶けるほどの 口付けを君に』

    『melt♥kiss』

    チョコレートを一粒口に銜えた彼は、妖艶な笑みを湛えた。
    しかも、チュッと言うリップ音付き。

    「キャー!!」
    「いや~ん、カッコいい~~っ!!」

    同じようにテレビを見上げていた年齢を問わずの女性達から、悲鳴のような声が上がる。

    「Reiみたいな彼氏が欲しい~。」
    「…それ、高望み過ぎない?」
    「えー?でも、Reiって確か彼女いるよね?」
    「その女が羨ましい~!」

    高校生くらいの数人の女の子達の会話に、夕鈴は思わず肩を竦め、身を小さくする。

    「Reiって、滅茶苦茶情熱的っぽいと思わない?」
    「彼にキスされたら、文字通り溶けて腰砕けそう。」

    俯く夕鈴の顔が、ますます真っ赤に染まった。

    大型テレビはもう別のCMが流れている。
    先程チョコレートのCMに出ていた、彼女達が話している俳優Reiは、実は夕鈴の恋人だった。

    彼はとても情熱的で、口付けは甘く優しく、彼女達が言っているように、夕鈴はいつもとろとろになってしまう。
    真実を知っているわけではないのに言い当てられ、居た堪れなくなった夕鈴は、火照った顔をマフラーに埋めるようにして、とぼとぼと歩き始めた。

    21時過ぎ、バイトを終えて外に出ると雪が降っていた。
    今夜は客が少なかったので、途中から裏で在庫整理や掃除をしていて外の事が分からなかった。
    いつから降っていたのか、道の隅や植木にはうっすらと積もっている。

    そう言えば今夜は冷えると朝の天気予報で言っていたなあと思う。
    手袋をしていても寒くて悴む手を擦り合わせて、夕鈴は歩き始めた。
    するとすぐに夕鈴の横に、一台の車が停車した。
    驚いて足を止めると窓が降り、運転席にいる男がにこりと笑う。

    「お疲れ様、夕鈴。」

    どんな変装していても、普段絶対にテレビでは見せない表情をしているとしても、彼の放つ一般人ではないオーラは隠しようがない。

    黒縁眼鏡の奥で光る紅い瞳。
    全ての人を魅了する、容姿端麗な男。
    そこにいるのは、紛うことなき芸能人Reiだ。

    夕鈴はキョロキョロと辺りを見渡し、道行く人々が自分達を見ていないか確認して、急いで車に乗り込んだ。

    Reiこと珀黎翔は、運転をしながら楽しそうに夕鈴に話し掛ける。
    「今日はね…」と自分自身の事を話したり、「夕鈴は今日何か良い事あった?」と、興味津々に問い掛けて来たり。
    多忙で、年下の可愛い恋人となかなか一緒にいられない彼は、二人で会える時間をとても大事にしていた。

    黎翔は明日も朝早くから仕事で、夕鈴も学校がある為、今夜は真っ直ぐに彼女の自宅に送って行く事にする。
    名残惜しいが、仕方が無い。

    「あ、そうだ夕鈴、これ。」

    信号待ちの時、彼が渡してきたのは先程見たCMで彼が食べていたチョコレート。

    「業者さんに頂いたんだけどね、すっごく甘くて美味しいよ。僕のオススメ。」

    一粒食べてみると、さすが黎翔が勧めてくるだけある。
    生チョコが、スウッと口の中で溶けていく。

    溶けるような、彼の口付けと同じ。
    その感触を思い出して、夕鈴は一人頬を染めた。

    黎翔が夕鈴を自宅に送る時、いつも車を停める公園の傍。
    別れの前に、二人は熱い口付けを交わす。

    夕鈴としては恥ずかしくて、いつ誰に見られるかもわからない場所でこんな事をするのはためらいがあるが、黎翔は必ず抱擁と口付けを贈る。

    ただ触れるだけでは足りなくて、ちょんちょんと彼女の唇を舌で突く。
    躊躇いがちに開かれた唇の間から舌を挿し入れると、少しだけ夕鈴の身体が強張った。
    慰めるように頭を撫でながら、一通り咥内を味わって離す。

    「はぁ…。」

    とろんとした夕鈴から、甘い吐息が漏れる。

    「…夕鈴の中、とっても甘い。」
    「っ!…チョコ食べたからです…!」
    「ううん。」

    顔を真っ赤にして弁解する彼女に、黎翔はふふっと笑う。

    「…媚薬のように甘くて、溶けそうになる。僕を魅了する、夕鈴の味だよ。」

    また口付けて、舌を絡め合い、深い口付けを交わす。


    大粒のぼたん雪が、ふわふわと舞い降りてくる。
    溶ける事なく積もっていく雪は、明日の朝まで降り続けるだろう。

    夕鈴の甘い声と、水音だけが車内に響く。

    外は闇
    舞い降る雪


    黎翔と夕鈴は
    二人だけの世界で

    甘い口付けに、溶けた。


    END
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    2013.12.25 02:02 # [EDIT] 返信

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