花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【コラボ】「狼陛下の花嫁―冬のくちどけ・2―」


    「――夕鈴!」

    「陛下!!」

    ようやく見つけた君は、私の声に振り向くと、輝く笑顔で走って来てくれた。

    「おかえりなさいませ!」

    「お早いお帰りですね!
     狩りは、いかがでしたか?」

    まだ整わぬ息を弾ませて、
    彼女は、一生懸命に私に問いかける。

    私をまっすぐに、優しく見つめてくれるひと。
    皆が怖れる狼陛下を、彼女だけは恐れない。

    「夕鈴、両手を出して
     ……君におみやげがあるんだ!」

    「……なんですか?」

    不思議そうに小首を傾げる君。

    素直に両手を差し出した夕鈴の腕の中に、
    私は、おみやげをそっと手渡した。

    …………!

    「わぁ!
    野生のうさぎですね!!」

    「白くてフワフワしてる……可愛い!」

    思い描いていたとおりの君の言葉。
    嬉しそうな、耀く笑顔。
    林檎のように真っ赤な顔で、うさぎに優しく微笑む夕鈴。
    柔らかな小さな手で、うさぎを撫でている

    その仕草に、姿に、私の心はゆっくりと和んでいく。

    「これ、どうしたんですか?」

    「君に見せたくて、生け捕りにさせたんだ。」

    「陛下、ありがとうございます!」

    うさぎを優しく撫でる夕鈴の鼻が赤い。
    そういえば、私が狩りに出かけてすぐに庭に出たのだっけ…

    チラチラと降り出した雪に、君が震えている気がして……そっと、その頬に触れた。

    「……陛下?」

    思った通り、君の林檎のような頬は、氷のように冷たくて……
    私は、少し眉を寄せた。

    「夕鈴、部屋に戻ろう!
    身体が冷えてるよ!
    女の子が、身体を冷やしちゃダメでしょ?」

    「平気です。
    寒くないですよ!」

    「それに……
    せっかく陛下が、帰って来たから、二人で雪が見たいです。」

    恥ずかしそうに、呟く彼女の言葉。
    俯く耳朶が、薔薇色に染まる様を、愛しく見つめた。

    君のめったにしない我侭は、私を喜ばせる。

    妃には、めっぽう甘い狼陛下。
    君がこんなに可愛い妃だと知ったら、世間は噂を納得するのにと思う。

    可愛い君の我侭を叶えたいけど……ここじゃダメだ。
    風邪をひいてしまう。

    「いいよ、夕鈴。
     こっちにおいで……」

    私は手を繋いで、風当たりの無い四阿に連れて行った。

    ここだと雪の降る庭が、良く見える。

    私は、長椅子に座って、外套の袂を開いて見せた。

    「夕鈴、寒いから早くおいで……!」

    君を手招きする……そっと私の膝に座るように促した。。

    君は最初は、戸惑っていたが、
    おずおずと恥ずかしそうに私の膝に座ってくれた。

    そのまま……君を外套で、暖かく包み込むように抱き締める。

    「これなら、君も私も暖かい。」

    「……ホントですね。」

    「あったかい。」

    君は嬉しそうに、クスッと笑った。

    「なんか贅沢ですね。。
     きっとバイトで、王様に温めてもらうのは、私ぐらいですね。」

    「君は、特別だからね。
     私の唯一無二の愛する妃だから……」

    「ふふっ……
     演技と知ってなかったら、惚れそうですよ。
     ……その台詞。」

    私の本気は、いつも君には伝わらない。
    ツキンと私の胸を小さな痛みが走った。





    「わぁ……綺麗!」

    降る雪を眺めて、君が儚げに笑う。

    このまま消えてしまいそうな君を閉じ込めてしまいたい。

    強く抱き締めたくて……
    でも、出来なくて……


    切ない想いで、君を見つめた。

    ……続く。 


          011.gif

    関連記事
    スポンサーサイト

    管理者にだけ表示を許可する