花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    【短編】IF・夫婦設定「蒲公英の綿毛が舞う陽だまり」 ※11/22は、いい夫婦の日

    久しぶりに晴れた或る日
    暖かな陽射しに、誘われて
    久しぶりに部屋の外に出た。

    夏の名残を少し残して
    私の心を慰める後宮の庭

    時期外れの蒲公英が
    白い綿毛と共に、風に吹かれて咲いていた。

    歩きつかれて
    四阿のそば

    暖かな陽射し溢れる四阿に行くと
    既に先客が眠っていた。

    四阿の長椅子に、夫の姿。
    何処からか飛んできた
    蒲公英の綿毛が
    黒い前髪に落ちていた。

    眠りを妨げないように
    そっと……
    綿毛を外してあげようと手を伸ばした。

    不意にその手首をとられ
    陛下の瞳が開いた。

    「今日は、こんなところまで出歩いて大丈夫なの?」

    「身体の調子は、どうなんだ?」

    引き寄せられて、陛下の腕の中に囚われた。


    「今日は、調子が良くて……陛下にお会いしたくて捜していたのです。」

     私は、最近……調子が悪くて、気分が優れなかった。
     体調の悪い私を気遣い、政務の遅い陛下は寝所を昔と同じ別室にした。
     なかなか会えなくなった夫に、寂しさを感じて 私は、陛下を捜していた。
     一つの誇らしい知らせと共に。

    「こちらに来ていると、李順さんから聞きましたので……」

    「まさか、寝ているとは思いもしませんでした。
     ……起こしてしまいましたか?」

    「いや、そろそろ起きようかなと思っていた頃だよ、夕鈴。
     愛らしい気配に、起こしてくれるものと思っていた。」

    「まあ……」

    呆れた口が塞がらない。
    大きな目を更に大きくして私は、陛下を見つめた。

    「夕鈴、久しぶりに見る元気な君の顔を良く見せて……」

    陛下は、長椅子に座りなおして私を膝の上に乗せた。

    「本当に顔色が良いな。
    今日は、調子がよさそうだ……
    それで、……私を捜していたというのは?」

    引き寄せられて、蕩けるようなまなざしを向けられる。
    狼陛下の瞳が、こんなにも甘いことを私以外は誰も知らない。

    頬を撫でる陛下の手に私の手を重ねた。

    「陛下に、ご報告があって……」

    ぽぽっ……と頬が赤らんだ。

    陛下は、喜んでくれるかしら?
    期待と不安が高まる。

    私は、陛下の耳に唇を寄せた。

    「…………あのね。
    赤ちゃんができたみたいなの。」

    誰も居ないのに、内緒話のように小さな秘密を打ち明けた。

    「え!?…………ホントに?」

    私より、真っ赤な顔で陛下が呟いた。
    驚きで、赤い瞳が見開かれた。
     
    肯定のつもりで、コクンと一つ頷いた。



    ――――――数瞬の沈黙。



    「夕鈴!ありがとう!!!」

    私は、満面の耀く笑みと共に、陛下からギューギューに抱きしめられた。
    初めて見る感情のままの心からの嬉しそうな笑顔に、私もとても嬉しくなる。

    最近までの体調の悪さを
    もしかしたらと思い
    侍医に相談をしてみた。

    結果は、やはり“妊娠”していた。
    陛下と私の初めての御子。

    私は、一番に父親である陛下に報告したくて捜していた。

    予想どおりの……
    いや、それ以上の夫の喜びように、私はホッと安堵する。


    「…………夕鈴!ありがとう!」

    啄ばむような口付けと耀くような誇らしい笑顔。

    「男の子かな?女の子かな?…………動く?」

    「陛下、気が早いです。
     …………まだ動きませんよ!!」

    私のお腹を撫で摩る陛下に、苦笑する。

    暖かな陽射しを受けて、四阿に私たちの幸せな影が伸びる
    青空に蒲公英の白い綿毛が飛んでいく。
    どこまでも続く青い空へ…………

    産まれてくるのは、夏の頃
    命の輝きがもっとも美しい季節。
    その季節を待ち遠しく思いながら
    陛下の腕の中で時を待つ。

    私は、陛下の溢れる愛に満ち、幸せを嚙みしめる。
    まだ見ぬ未来の我が子に思いを馳せて…………


    おしまい。


    幸せないい夫婦って、何?
    ぐぐってみました、花言葉。
    逆から辿るのは初めて・・・



    それで、まんま花言葉を題にしました。
    けど、高尚過ぎてやめました。

    花言葉★タンポポ(蒲公英) --- 愛の神託

    白い綿毛 をつけた種子が風に吹かれて飛んでゆき、新しい命を色々なところに運んでゆく姿が、花言葉の「愛の神託」にたとえられました。


    他に、候補は、あったのですが、今回は蒲公英で。


    花言葉★コチョウラン(胡蝶蘭)---「祝福」
    花言葉★アイリス ---「吉報・優しい心」
    花言葉★すずらん ---「幸福の訪れ・純愛・希望」 あなたに贈る鈴蘭の花で題材にしました。
    花言葉★ポインセチア ---「聖なる希い・博愛・祝福」
    花言葉★菩提樹 ---「夫婦愛」
    花言葉★マリーゴールド ---「生命の輝き・友情・生きる」
    花言葉★タンポポ(蒲公英) --- 愛の神託

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