花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    『誰も知らない物語11』 はこべらさん作

    何とか今月中に青年を寝台から動かしたい…!
    と、自分の中で妙な方向に火がついてしまったので続きを書かせてもらいました。

    **
    遠くから小鳥のさえずりが聞こえる。

    柔らかな日の光を感じた青年は、ゆっくりと覚醒した。

    「―――。」

    「お早うございます。」

    声のする方に首を傾けると、椅子に腰掛けている少女と目が合った。少女は青年の顔色を見た後で、にこりと微笑む。

    「昨日よりもお顔の色が良くなられたようで何よりですわ。
    出来たら粥と薬を召し上がっていただきたいのですが――っ、
    何をなさっているのですか!」

    寝台から無理に起き上がろうとして顔をしかめる青年を、少女は慌てて制止した。

    「何故そのようなお体で動こうとなさるのですか!
    …あなた様は、命に関わるほどの状態だったのですよ!?
    今だって、傷が酷く痛むはずです。
    まだ横になっていてくださいませ!!」

    「…もう大丈夫だ。」

    青年は少女の制止を緩やかに押し返し、再び寝台から起き上がろうとする。

    「―――っっ。」

    少し体を動かすだけでも、激しい痛みが青年の体を貫く。
    痛みに顔を歪める青年を見た少女は青ざめ、必死になって青年に懇願した。

    「お願いです。無理なさらないでください!
    …お願い、ですから…。」

    少女の双眸からぽろぽろと涙が溢れだす。
    それを見た青年の動きが止まった。

    「―――。」

    「…あなた様にとって、この場所はお体を休めるのに不本意かもしれません。
    ですが、もうちょっとだけ、せめてお体の痛みが十分に退くまではこちらでお休みくださいませ。」

    「だが―…。」

    「…どうか、私の我が儘を聞き届けてください…!」

    「―――。」

    瞳いっぱいに涙を湛えた少女の懇願に、青年は無言で頷いた。


    ***
    「では、粥と薬を用意して参りますね!」

    すぐに戻りますから、と言うと金茶の髪をたなびかせながら少女は部屋から出て行った。
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