花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    『桜の刻印1』・出会い・

    とある日の街中・・・

    「君、ちょっといいかい?」

    黎翔がある女の子の肩を掴んだ。
    見た目は自分より少し下くらい。

    先程から男の後をつけていて怪しくて声をかけた。

    「・・・なに?私、忙しいんだけど」

    振り向いた女の子は眉間にしわを寄せて不機嫌そうに答えると、
    また男の方を向いた。

    黎翔は左手で肩をつかんだまま
    右手で上着の内ポケットから警察手帳を取り出して見せながら問いかけた。

    「僕は警察なんだけどね。
     君、さっきから男の後をつけているよね。
     ちょっと一緒に来てもらおうか。」

    「・・・離して」

    「ん?」

    「だから離してって言ってるのよ」

    「それはできない」

    「何言ってるのよ!
     私の仕事の邪魔しないで頂戴!」

    そう言うと女性は黎翔の手を振り切って
    再び男の方を向いた。

    ・・・しかし男はもうそこにはいなかった。

    「っああ!いない!
     あなたのせいで下着泥棒取り逃がしちゃったじゃない!」

    「え?」

    「あなたこの前、刑事一課に配属されてきた珀黎翔でしょう?
     私も同じ一課の刑事よ!しかもあなたの直属の上司!
     あなた、上司の顔も覚えてないの!?」

    「・・・汀警部補?」

    「はぁぁ、ほんっとうにわかってなかったのね・・・
     あいつはね、この地区のコインランドリーから
     下着を盗みまくってる下着泥棒の常習犯よ。
     やっっと見つけたから現行犯逮捕しようと思って
     後をつけてたのに・・・
     どうしてくれるのよ!
     女性の敵を取り逃がしちゃったじゃない!!」

    「っ!申し訳ありませんでした!」

    黎翔は直角に頭を下げた。

    「はぁ、仕方ないわ。署に戻りましょう。
     さ、行くわよ。」

    「はい・・・。すみません。」

    しかし、まさか汀警部補殿だとは思わなかった。
    日頃の彼女は長い髪をうなじで1つにまとめた
    スーツ姿のかっこいい女性だ。

    それが今はどうだ。

    そこら辺にいそうなちょっと野暮ったい大学生のような
    Tシャツにジーンズ、足元はスニーカー。
    髪はお団子にしてクチバシクリップで一つにまとめ、
    メガネをかけている。

    そんな格好で男をつけていては誰だって
    男のストーカーと勘違いするだろう。

    しかしやってしまった。

    密かに憧れ、もうちょっと仕事に慣れて
    自信が付いたら告白しようと思っていたのに・・・

    さっそく仕事の邪魔をしてしまった。

    はぁ、先は長いな・・・


    はっち作



    2013年
    09月21日
    21:57
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