花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    生原稿【☆7公開こらぼ】 『真緋-あけ‐の口付け』 haruka&さくらぱん

    こちらは、『真緋-あけ‐の口付け』の生原稿となります。
    誰がどの部分だったのかをお楽しみください。

    生原稿【☆7公開こらぼ】 『真緋-あけ‐の口付け』 harukaさくらぱん



    ◇◆◇
    ◆甘々の実
    ◆ファースト・キス
    ◆じれじれ・ジリジリの実
    ◆甘酸っぱく

    >季節は今頃の方が、感情移入しやすいのでは???
    >残暑から、秋めいてきたこの季節は、恋の季節へと変わるころ。
    >中々よいのでは?!

    ◆景色が紅色
    ◆遥か悠遠の空
    ◆真っ赤な折り重なる紅葉の四阿
    ◆赤とんぼ
    ◆夕陽に照らされた光る池に、トンボが舞う


    季節はグッと推し進めて、真っ赤な夕刻。


    事故のファーストキス。
    なし崩しに『無かったことにしよう』を引きずっている設定。
    事故のファーストキスしかしていない一回のみ。

    お互いにギクシャクスタート。

    その場でやり直しkissエンドになるように、短期集中蜂蜜ジレジレに。


    ということは本誌添い。陛下と臨時花嫁で・・・





    【真緋の口付け・本編】


    『ゴメン・・・・』だなんて言って欲しくなかった。

    『あれははずみの事故だったんだ』

    陛下の口から言われた言葉が頭の中でグルグル回る。

    そんなこと言われた私は如何すればイイの?
    少しは嬉しいって思った自分が、イケナイ想いを抱いたみたいじぁない・・・・。


    一人ポツンと佇む夕刻の四阿。
    暮れゆく火輪は、空いっぱいを朱色に染める。

    胸に広がる想いを押し殺して見上げると、綺麗な朱色の空が滲んでいる。

    「えっ?私、泣いてるの・・・・」

    手の甲ををそっと頬に触れさせると、微かな滴で濡れている。
    そのまま指先を唇に当ててみる。

    まだ・・・・・・感覚が残っている。
    それは初めて口付け。

    初めての口付けでこんな苦い思いをするなんて、思わなかった。


    ーーそう。

    私にとって一生に一度だけの忘れられない口付け

    思い描いていたものではなかったけれど……

    あれは、私が招いた事故だったけれど……

    大好きな陛下と口付けた甘い記憶。

    陛下が忘れても、私は忘れることなど出来ない

    甘やかな事故。

    確かに嬉しかったはずなのに……

    陛下から『無かった事』にして欲しいと暗に言われた失望感。

    思い出すだけで、この胸がツキン……と痛み出す。

    苦い記憶。

    ……いつの間に、こんなにも陛下のことが好きになっていたんだろう。

    愚かな願いを抱くほどに……

    ……いつまで陛下の傍に居られるのかしら?

    この想いを隠し切れない。

    いつかは陛下にこの気持ちを気付かれてしまうのかな?

    …………臨時花嫁失格ね。

    巡る思いを表すかのように、真っ赤に染まる四阿の池に
    くるくると赤とんぼが飛ぶ。

    私の想いを映すかのように凪いだ水面にとんぼが波紋を作る。

    一つ・・・二つ・・・恋模様。

    儚く消えては、また作る穏やかな水紋。

    今を盛りに燃え盛る炎ようなイロハ紅葉。

    鮮やかすぎる夕焼けの空の紅。

    私の瞳に映る景色は、温かな陛下の瞳の色。

    胸締め付ける恋の色。.

    叶うはずの無い恋に諦めきれない涙が伝う。

    陛下にとっては、気にも留めることの無い口付けだけど

    私は…………。

    私の頬を秋風がやさしく撫でる。

    伝う涙が冷たい。

    流れる涙を拭うことも出来ずに、夕闇迫る鮮やかな景色に物思いにふけっていく。

    夕景が美しければ美しいほど魂が惹かれる。
    惹かれる魂は、陛下へと想いを馳せる。

    物思いに更ける夕鈴は、自分の内に囚われていく。
    しだいに自分の周囲への関心を忘れていくのだった。


    後宮へ訪ねてみると、夕鈴が戻ってないらしい。
    何処に行ったのか・・・・・。

    まさか、まだあの四阿に居たりするのだろうか。
    もう、夕暮れが迫っている。
    陽が落ちてしまえば、辺りは夕闇に支配されてしまうというのに。

    「先程の事で、もしや思い悩んでいるのだろうか。」

    確かにはずみの事故とはいえ、予期せぬ口付けをしてしまった。

    夕鈴はどう思っただろう。
    ・・・・・・口付けなぞ、男の自分にとっては何ともない事だが。
    夕鈴には迷惑な事だったのか。

    黎翔は心の奥にわだかまりを抱き、夕鈴を探し歩く。

    「いた!!」

    夕鈴は先程の四阿の傍の池の畔に座っている。

    「ゆう・・・・・。」

    声を掛けようとしたが、夕鈴の様子に声が出ない。
    何だか夕焼けの朱に吸い込まれて消えて行きそうで。

    黎翔はそのまま、近付く事も出来ずにその場に立ち竦んだ。

    暮れなずむ夕景に染まる景色に根夕刻の風に
    散らされた柔らかな髪。
    心なしか後姿が淋しく思われた。

    肩を少し竦ませて、夕鈴は沈みゆく夕陽を見ていた。
    一陣のそよ風とはいえぬ風が四阿に吹く……

    風に乱された髪を抑えたとき、横顔の彼女の頬に光るものを黎翔は確かに見た気がした。


    ―――夕鈴が泣いて・・る。そんなに嫌だったのか・・・・・。

    落ち込む自分がいた。
    そんな風に感じる自分に少し驚きを禁じ得ない。

    「夕鈴、ごめん。」

    不意に謝罪の言葉が口をついて出た。
    確か、先程も夕鈴に向かって言った言葉だ。

    「陛下はゴメン・・なんですね。」
    「???」

    思ったよりも大きくなっていた声に、座りこんだ夕鈴の耳に届いたようだ。

    「だって、夕鈴・・・泣いているから。」
    「―――泣いているから、『ゴメン』なんですか・・・。」

    夕鈴の声はいつもよりもワントーン低い。

    「そんな、謝らないでください。あんなの・・・・事故なんでしょう??」

    ―――やっぱり、夕鈴は引っ掛かっているんだ。先程の口付けのことが。

    予感が確信に変わる。

    ―――なんて答えればいいのだろう。
    事故でも嬉しかった・・・・なんて事は云えない。
    例え、そう思っているとしても・・・・これ以上傷つけたくはない。

    黙りこくる黎翔に、夕鈴はただ静かに返事を待つ。
    二人の間にぎくしゃくした雰囲気が漂う。


    「……ん…です。」

    夕刻の風に攫われた彼女の小さな呟き。

    途切れ途切れの小さな言葉に、黎翔は、自分の耳を疑った。

    鮮やかな夕景に溶け込みそうな、儚げな姿で、かすれた声で呟いた夕鈴。

    その儚さに黎翔は、夕鈴を抱きしめたい衝動に駆られる。
    このまま…消え失せてしまうのでは、なかろうかと思ったから。

    泣いていたのを見てしまったからかもしれない。

    夕鈴は黎翔に振り向かず顔を俯いて呟く。

    今、陛下の顔を見てしまったら、溢れる気持ちが陛下へと溢れ出しそうだったから。

    「……嬉しかったんです……」

    もう一番呟いた2度めの呟きは、今度はハッキリと黎翔の耳に届いた。

    え…今何と言ったのか?
    耳を疑った黎翔は、驚きを隠せない。

    では、何故泣いているのだろうか?


    黎翔は座りこんだ夕鈴の後ろにそっと近づき、その頼りなげな背中を包み込むように抱きしめた。
    夕鈴はビクッと一瞬肩が震え逃れようとするが、黎翔は離さなかった。
    そして、耳元に優しく囁く。

    「夕鈴、嬉しいって言ってくれたの??」
    「えっ!!聞いていらしたんですか。」
    「うん。聞えたんだ。」
    「そうですか。」
    「ねぇ、夕鈴・・・・・・どうして泣いてるの?」

    ―――訊いてしまった。
    ―――訊かれてしまった。

    二人の間に沈黙が走る。


    「・・・・・・・・言わないとダメですか。」
    「気になるんだ。」
    「あの・・・・・・・・・・初めてだったのに・・・・・・・無かった事にして欲しいって仰るから。」
    「だって、夕鈴。あの時は、ああ言うしか・・・。」

    確かにあの時、ビックリして陛下の顔が見れなくて俯いてしまった。
    それが陛下に要らぬ誤解をさせてしまったの??
    本当は嬉しかった・・・のに。

    君が、僕との口付けを嬉しかったのだということを知った。
    君の頬を伝う涙の意味も……

    君の言葉が、僕の胸を躍らせる。

    この腕の中で、自らの告白に頬染める君がとても可愛い

    愛らしく愛おしい君に今すぐkissしたい。

    事故ではなく、意思の或る口付けを。

    湧き上がる純粋な欲望のままに……

    黎翔は気付いたら口に出していた。

    『夕鈴……ファーストキスをやり直そうか。』


    「えっ??」

    榛色の瞳を見開いて、驚く表情に変わる君。
    その愛らしい瞳にまずは口付けた。

    「へ、へいか・・・・・・・・あの・・・・・だから・・・それは・・・少しマズイのでは・・・。」
    「黙って!!」
    「はい。」

    『ダメだ』なんて言わせない。
    君の本心ではない事は、もうわかっている。

    だから、君に口付けを捧げたい。
    この湧き上がる愛しい想いと共に。

    伝えたいんだ。
    僕の・・・・・・・・・・・・一つの本心を。


    「夕鈴……僕でいい?」

    優しく引き寄せた君に意味など無く問いかける。

    君に口付けたい。

    この衝動を押さえ切れない。

    鼻先が゛触れるほどの距離で囁く。

    『僕は今すぐ君とkissしたいんだ。』

    囁きが終わるよりも早く、君の柔らかな唇に……触れた。

    「んん……っっ」

    あんな一瞬の口付けと呼べないほどの事故では味わえなかった。

    君の甘い唇。

    はじめての君を怖がらせないように、
    優しく触れるだけの口付けのつもりだったのに……

    君の心を知った僕は、溢れる想いを止められず……
    貪るように君を求めた。

    (もっと……君を知りたい。もっと君を味わいたい。)

    抱き締める腕の中の君は、戸惑いのままに……
    僕との口付けに酔わされていく。

    夕刻の四阿。

    真緋ーあけーに染まる景色の中で、僕と君は始めての口付けを交わす。


    もっともっと・・・・と止めどもなく君を求める貪欲な想い。
    荒々しく、たぎる想いに口付け続ける。

    「あぁん・・・・。」

    君の声が艶色に染まる。
    そう、この空の真緋のように。


    僕の腕の中で、酔わされていく君を愛でながら……

    止まらない想いを僕は君に伝えた。

    何度も口付けの角度を変えながら、消えない口付けを君の胸に刻んだ。



    ー完ー



    このままエピローグ行きます。

    慎さんのイラストイメージで宜しく。


    お互いの指を絡ませて、四阿から後宮へ続く小道を歩く
    君は、頬を赤らめて先ほどの口付けにまだ酔っていた。

    四阿からずっと俯き歩く君。

    今度は分かる。

    君が、嬉しくてただ単に恥ずかしがっているだけだということを。

    恥ずかし気に染まる紅葉のような耳がとても可愛い。

    並んで歩く僕は、君の名を呼ぶ。



    「夕鈴。」
    「はい。」
    「夕鈴・・・・。」
    「・・・・・・・はい。」

    何でもない日常の中で、君と共にいる奇跡を噛み締める。
    暮れゆく空は朱色。
    君の染まった頬のよう。

    初めての口付けは、はずみだった。
    でも2度目の口付けは熱く心地よいものだった。

    二人の想いが重なった口付け。
    だからこそ・・・・・・それだからこそ大切な。

    唇から伝わる微熱が覚めない。

    名前を読んだら、応えてくれるただそれだけなのに

    夕鈴がとても愛おしく感じるる

    僕らは何度も名を呼び合った。

    絡めた指先を繋ぎ直して、キュッと握り締める。

    「ねぇ、夕鈴。」

    呼ばれた君は顔を上げて僕を見詰める。
    その潤んだ瞳が愛おしくて______________。


    僕は、そのままそっと薄桃色の唇に自身の唇を重ね合わせた。

    季節は全てを朱色に染める秋。
    君との思い出を一つ積み重ねて歩を進める。

    二人で辿る恋道は・・・・・まだまだ真っ直ぐに伸びるから。
    一歩一歩進めていきたい。


    たとえ道が隠され険しくとも、きっと二人なら見つけられる。

    ただ一つ、先の未来へ続く道を……

    幸せな真緋に耀く僕らの道を。




    『完』 
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