花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

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    【短編】IF『比翼連理』& 『柔らかな檻2』※慎さんのイラスト付

    ◆義理の兄 黎翔 と 視力を失った義理の妹 夕鈴。
    ◆倒錯めいた兄妹愛。
    ◆血のつながらない妹を愛する黎翔。
    ◆愛する彼女が兄にとった行動とは


    続きが読みたいと言ってくれた麻杉慎さんに捧げます。

                     さくらぱん


    ◆◆◆




    帳の奥で抱きあい果てない夢を足掻く




    ……夢を見た
    たったひとつの叶えたい夢を



    ……夢を見た
    たったひとつの叶わぬ夢を


    それぞれの思い描く夢は同じでも
    その想いは同じではない。


    二つに分かれた魂がもどかしい。
    夢は夢のままではいられない。











    とある月の無い晩
    夜更けに、黎翔は微かな胸騒ぎで目が覚めた。

    同じ寝台で眠る妹は、黎翔の隣で眠る
    穏やかな寝息をたてながら幸せそうに熟睡する夕鈴。

    黎翔は、帳ごしに素早く気配を探る。
    ひとつ…ふたつ…みっつ…
    殺気を消せぬ無粋な者ども。

    黎翔には、隣に眠る守るべき者。
    このままでは彼女に危害が及ぶかもしれない。

    大きな咳払いを一つして黎翔は物音を立てた。
    外の気配が怯み後ずさりする気配。


    「ぅう゛…ン。にぃさま!?」

    「どちらへ……」

    無邪気に問う妹は、まだ目が覚めておらず眠い目をこすった。

    物音で起き手探りで寝台を探すも、そこには兄の姿などなく
    空虚なぬくもりがあるのみ、不安げに語尾が揺れる。

    彼女には何も心配させたくない。
    黎翔は素早く妹の額に柔らかな口付けを落とした。

    『寝ていなさい夕鈴。』

    『心配いらない。すぐに戻る。』

    「はい……お兄様。」

    察しの良い妹は、素直にこくんと頷いて、握っていた黎翔の袖を離した。







    ……どくんっ。

    嫌な予感がする。

    …………ドクンっ。

    こんな月の無い夜は特にそう。

    亡くなったお父様の時もそうだった。

    時を置かずして無くなったお母様の時もそう。

    ーーーーお兄様。

    ーーーー黎翔お兄様。

    ーーーーご無事で。

    兄様を狙う刺客達。

    昼夜問わず……兄を狙い続ける。

    黎翔お兄様は、私に危害が及ばぬように刺客を遠くへと誘い出す。

    自らが囮となって私を守る。

    ここは外の世界から守られた柔らかな檻。
    私は、外の厳しさを知らない。

    本当にコレでいいの?
    外の茨の世界を素足で踏む勇気の無い私。

    外に潜む危険を刈り取りに出て行った黎翔お兄様の無事を私はひたすらここで祈るだけ……

    あぁ・・・もどかしい。
    胸が張り裂けそうだわ。
    大好きなお兄様の無事を祈るだけなんて……

    見えない目が恨めしい。
    悔しさと不安とで涙が零れた。

    大きな王の寝台の片隅で夕鈴は、小さく丸くなって兄を待つ。
    起きてしまえば、誰かがいるとわかり別な危害を加えられるかもしれないから……
    兄の言いつけを守り、息さえも殺して眠れぬ時を夕鈴は一人過ごした。

















    夕鈴の不安が高まった頃。

    キシリ……と寝台が沈み『……夕鈴。』と柔らかく呼ぶ兄の声。

    「お兄様っっ!!!ご無事だったのですね!!!」

    跳ね起きて嬉しそうに兄の首に飛びついた夕鈴は、頬に冷たい水の感触を感じた。


    「?……冷たい。」

    『ゴメン、夕鈴。冷たかったか?湯浴みをしてきたから……。』

    『濡れてしまった?』

    「ううん。ただお兄様が冷え切っていて……寒くないの?」

    『……少し寒いな。夕鈴、暖めてくれる?』

    「いいよ。でも……どうすればいいの?」

    『特別なことは、いらないよ。ただ……いつものように抱きしめて?』

    黎翔は夕鈴を引き寄せて抱きしめる。

    華奢な妹の身体は、すっぽりと黎翔の腕の中に納まった。

    そのまま……まるで何事も無かったかのように彼女を抱きしめて寝台に横になる。

    腕の中から柔らかな感触と確かなぬくもり

    この温かさを守る為に、この両手はいくらでも血を流すのだろう。

    名も知れぬ刺客を屠るたびに血が凍る。

    彼女に気付かれぬように、湯浴みで穢れた血を洗い清める。

    それでも尚、身体が凍り血の匂いが鼻につくように感じた。

    確かに消したはずなのに……。
     

    柔らかな妹の髪に顔を埋めて、花の香りを嗅ぐ

    心休まる彼女の存在。


    「お兄様、温かいですか?」

    『……ああ……あったかい。夕鈴は温かいな。』

    「良かった……お兄様、眠れそう?」

    『……ああ……眠れそうだ。夕鈴いつもありがとう。』

    「私はお兄様を温めることしかできないけれど……少しでもお役にたてているのなら嬉しい。」

    『君は自分を卑下することはない。』

    『夕鈴は十分私の役にたっているよ。』

    「そう!?……だったら嬉しい。」

    「これからも温めてあげるね、お兄様。」

    『……ありがとう、夕鈴。』


    にっこりと無邪気に笑う妹を更に抱き寄せて……その瞼に口付けを落とす。

    引き寄せた兄の手を夕鈴は大事そうに両手で包んだ。

    「……大きな手。」

    自らの頬に寄せ、頬で撫でる

    黎翔に伝わる甘やかな触感。

    「私は、お兄様のこの大きな手が大好き。」

    「……いつも私を守ってくれる。」

    手のひらに一つ夕鈴は口付けた。



    img0761.jpg
    ↑ Wクリックで全体が見れます。  (2013.09.18.挿絵★麻杉慎さん)


    見えない血塗られた黎翔の手に優しい口付けを贈る夕鈴。

    驚きで見開かれた黎翔の瞳。


    『…………夕鈴。』

    自分の罪深さを許してくれる大事な存在。

    愛しすぎて君を手放せない…………。

    壊れ物を扱うように、膨れ上がる愛を押さえて

    黎翔は優しくその唇に口付けた。

    『君を愛してる。』の言葉と共に。



    2013年08月26日 21:14:32
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    1198:管理人のみ閲覧できます

    このコメントは管理人のみ閲覧できます

    2013.08.27 19:52 # [EDIT] 返信
    1199:管理人のみ閲覧できます

    このコメントは管理人のみ閲覧できます

    2013.08.27 22:00 # [EDIT] 返信
    1200:管理人のみ閲覧できます

    このコメントは管理人のみ閲覧できます

    2013.08.27 22:03 # [EDIT] 返信
    1204:慎さん 8/27 メール&コメントありがとうございます。

    見ましたの印v-344

    とてもご心配をおかけしました。
    いつも応援ありがとうございます。

    喜んでいただけて嬉しいです。
    夕鈴の『黎翔お兄さま』の響きが新鮮ですか?
    ありがとうございます。
    今回、うっかり義理を付け忘れておりました。
    もうそのままにしておきます。
    勢いのままに書いてしまいました。

    わぁいi-185
    イラスト描いてくださるのですね。
    呟いて見るものですねe-266
    慎さん 楽しみに待っています。

    さくらぱん

    2013.08.27 22:28 さくらぱん #- URL[EDIT] 返信
    1336:管理人のみ閲覧できます

    このコメントは管理人のみ閲覧できます

    2013.09.18 00:41 # [EDIT] 返信
    1339:慎さん 2013/09/18 メール&コメントありがとうございます。

    見ましたの印v-344

    無事に届きました。

    凄く夕鈴が可愛いですね。

    このシーンが描きたかったのですね。
    私も気に入っているシーンです。
    素敵な作品ありがとうございました。


    さくらぱん

    2013.09.18 20:48 さくらぱん #- URL[EDIT] 返信

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