花の四阿

    Lala掲載の『狼陛下の花嫁』二次小説のブログです。某SNSで書き溜めた小説の他・イラスト・詩文・写真・徒然日記・一部鍵つきを掲載しています。

    西国の使者の物語(8)

    おはようございまーす。
    キリリク溜めちゃってる状態になっているのでサクサク行きます。
    明日で一応ラストの予定。

    sana







    ※本物夫婦。捏造設定あり。オリキャラあり。



                  ◆◆◆

    夢に見た乙女…この国の唯一の妃とはあれきり会えずにいた。
    誰に聞いても口を濁す。
    狼陛下の妃への寵愛を知らぬものはただの一人もいない。

    ただ一目、あと一目だけでもお会いしたい!

    私は回路から庭を眺めた。
    するとそこに高貴な女性の姿があった。
    この王宮で王族の衣装を着られる女性は一人しかいない。
    私は駆け出し、彼女の前に膝まずいた。
    衣装の裾を浚い、口づける。


    「ああ、冴え渡る空に輝く月のように美しい方。あなた様の事を思うと夜も寝られません」
    「あの…」
    「どうか私にご慈悲を。あなた様なしでどうして生きていけばいいのか私には検討がつきません!」
    「私はこの国の妃です」

    アネモネのようなあの唇から発せられているだろう声音に私はうっとりした。

    「分かっております」

    妃の衣装の裾に取りすがり口づけを送る。

    「それでも、魅力的な貴女を国へ連れ帰りたいと思ったのです」
    「お気持ちは嬉しいですが、でも」
    「例え、狼陛下の逆鱗に触れても貴女に故郷の空をお見せしたい…」


    ドカリと肩に衝撃が走り、私は床に倒れ込んだ。



    「よほど死にたいらしいな」

    狼陛下は乙女を片手に抱き、すらりと抜いた刀を私には突きつける。

    せめて最後に乙女の姿を目に焼き付けようと視線を上げる。


    「え?」

    私は乙女を見上げポカンとした。

    「陛下にはお妃様がお二人いらっしゃるのですか?」
    「私の妻はただ一人だ」


    狼陛下の腕の中で頬を染めているのは、私が焦がれた三日月の乙女ではなかった。
    野に咲く花のような少女だった。


    「宴にいたのも私です。皆様驚くのです。女官たちの腕のおかげです」

    恥じらいに頬を染める姿は可愛らしい。
    あの月の乙女の魂を持っていかれるような美しさに対して、彼女はほのぼのと心を解してくれるような魅力がある。

    「本来の私はこちらです」


    私は信じられなくてマジマジと狼陛下の妃を見つめた。

    「やっぱり、やりすぎなんですよ」
    「皆、君の美しさを際立たせたいだけだ。だが、私以外の男をこれほど誘惑するのであれば考えものだな」
    「お妃様?」
    「はい」

    恥じらいに頬を染める様は愛らしい少女と言った感じだ。
    だがそこには私を圧倒した美しさはない。

    「ほら、陛下。みなさん本当の私を見るとがっかりなさるんだから」
    「いえ、お可愛らしいですよ」


    あの月の乙女と目の前の少女のギャップにも驚くが、更に驚きなのはこの少女が狼陛下の唯一の女性だと言うことだ。
    まさか狼陛下がこのような可愛らしい女性を選ぶとは。

    目の前の少女は普通に可愛らしい。


    「私はそのままの君が一番美しいと思っている。特に何もまとわぬ時の君は美しく可愛らしい。神の恩恵に私は感謝する」

    狼陛下が妃の手を取り、腕に口づけをする。
    それは私が口づけた辺りで、そこには所有の花がびっしりと咲いていた。

    あの狼陛下がこのような女性を選ばれるとは。

    私はマジマジと少女を見つめた。








    ・・・続く

    2013年
    07月30日
    07:15
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